言葉
もう旧聞に属するかも知れぬが、大江健三郎氏が講演のなかで“引用”した言葉“意思的楽観主義”。『苦しい場面に置かれた時に物事の悪い局面に目がいくのはある意味で自然である。困難な場面において、その状況の積極的な面を見出すには、見出そうとする意思が…
常用漢字が新たに196字加わることになったが、PCやmobile phoneでの変換可能な今の時流に合わせたものである。新規の漢字には「(憂)鬱」や「(語)彙」など容易に書けない字が多く含まれているが、こうした難漢字を“使う”世代は20才代以下の若者が多いこと…
昨日、結婚披露宴に招かれ、午後舞浜のHotelに出かけた。 若手男性スタッフとかつての同じ職場の女子教員のカップル誕生である。寿ぎたい。 冒頭の挨拶を仰せつかった。新婦の勤める学校のPrincipalが早速ご挨拶に見えた。名刺を交換。お相手の名刺には学校…
ダライ・ラマが昨日7月6日、75歳の誕生日を迎えた。亡命中のインド、Dharamsalaは誕生のお祝いに沸いた。 50年前の中国当局によるTibet弾圧に抗議してインドに亡命政府を創立以来、世界に発信するDalai Lama14世の言葉は無視できない。 誕生日の昨日も次のよ…
Premier Hatoyamaが沖縄県の知事さんに迷走する≪米軍普天間基地≫の移設問題に関し陳謝した。“少なくとも県外”が無理だと判断したからだ。“少なくとも県外”とは“We do promise the U.S. Military Base will never be left in Okinawa”と云う意味のはずだ。 つ…
漢字一文字を解字すると含意が伝わる。 テツオ・ナジタ氏が大江健三郎氏への書簡の中で≪誠≫を次のように解字している--- 「『まこと=誠』という漢字は、知識(言葉を通して知ること=言)と行動(為す=成す)を意味する。二つの要素の融合であり、知ることと行…
A紙の夕刊に≪あすは何の日≫なる小欄がある。明日4月4日はMartin Luther King, Jr.が暗殺された日である。 キング牧師は労組のストの応援に来ていたMemphisのモーテルのバルコニーで白人の凶弾に斃れた。1968年、あの衝撃の日から早や42年になる。 犯人は誰か…
幸田文さんの語り口をCDで聴いてみた。特別な事柄を声高に語っていない。極ぐ平凡な、当たり前の些事を語っているのに、文さんの口調で話されると、どんな話も、面白く艶があり、精彩を帯びる。 文さん特有の語り口の一例--- 「・・おいしいものをご馳走にな…
12年前、『学校を救済せよ』なるエキサイティングな教育関係書?のなかで初めて「成熟社会」という用語にお目にかかった。異色の新進気鋭の社会学者M氏と割と信頼できる教育評論家O氏との共著によるものだ。 「大人のいない国--成熟社会の未熟なあなた」なん…
“とかく霞むが春の癖”と云うには未だ早いが、このところ陽気が定まらないのには困ったものだ。 高校卒業式の時節がやって来た。入学願書を出すのが梅の季節、卒業式は辛夷咲く頃だ。 今日、我輩が関係する私立高校で卒業式が行なわれた。式辞や祝辞は比較的…
President Obamaの一般教書は1時間10分に及んだ。米国民の大方は好意的に受け止めているが、“言葉にも新味がないし、実行出来るのか?”“八方美人過ぎる”とThe Washington Post紙など酷評する米主要メディアもあるほどだ。 が、贔屓目ではなく、Barack Obama…
ボクは今年の年賀状の冒頭部を旧年を振り返り、次のように切り出した。 「新しい人たちと出逢った1年でした」 “新しいひとたち”の意味するところは何か。ボクは、98年三月東大の卒業式における蓮實重彦総長(当時)の告示の一節をいまなお刻印している。 「あ…
もう八年前になるが、2002年にいわゆる「有事立法」関連法案が国会で審議され大きな問題になった。まず、≪有事≫という言葉の真義がわかりにくい。 翌03年1月、小冊子「岩波ブックレット」に加藤周一氏による東大新入生対象の講演録『学ぶこと 思うこと』が掲…
今日二日、皇居で恒例の一般参賀が行われた。天皇のメッセージの結びは「・・世界の平安を祈ります」。平和ではなく“平安”と仰るところがいいと思う。 平和も平安も“peace”を意味するだろうが、平和という言葉は今の国際情勢から見れば、ありきたり過ぎて、…
今朝、100人程度の40代のparentsを対象に20分余り、教育関連の話しをした。 内容はともかく、一人称に≪We≫よりむしろ≪I≫を多く使ったことが気になる。果たして聴き手のparentsは『話し手は、聴き手である自分たちのことについ話してくれている』と感じただろ…
今年を表わす漢字一文字は「新」が選ばれたとか・・。 今年も昨年と同じく“変”でもいいと思うが、一昨年の“偽”ほどではないが忌み字を避ける傾向にある気がする。 ボクにとっては今年の日常生活は“凡”とか“駄”などが適当なところだが、世間さま、世の中、世…
President Obamaのノーベル平和賞受賞演説は35分に及んだ。同氏のスピーチにはたいがい大きな拍手と笑いがつきものだが、今度ばかりは“戦時の大統領”と自他共に認めるいわく付きの受賞だけに自身珍しく緊張し、スピーチの基調は“Hard Truth”。演説中ほとんど…
いまOsloでNobel Peace Prize受賞記念演説を行っているBarack Obama氏。戦時の大統領の平和賞受賞を巡り疑問噴出だ。 Obama氏は人道主義の基盤と平和の維持のため、軍事の行使を毅然として弁護し、“just war”(聖戦)の必要性を呼びかける。 側近はは語る。大…
芥川竜之介の「書簡集」をじっくり何度も読んでいる。 喋るように、歌うように、流れるような手紙だ。大半は自分を語り、相手との対話を重ねている。なかでも、家族への手紙は、芥川のモラリティとヒューモアが感じられ、類稀なるレターライターと云うべきだ…
拙文のブログを一週間お留守。八日振りにrestartである。 久しく触れなかった私事を記す。 11月下旬の晩秋、思いがけなくNZに家族と出かけることになった。 35年に及ぶlongtime family friend(長年家族ぐるみでお付き合いしている親戚以上の親しい家族)が北…
昨夜のObama's Speech in TokyoのFull Text(全文)をいち早く世界に送信したのはFT. comだろう。発信時間は現地UK時間14日午前3時16分だ。 我が方の主要紙の昨夕刊は演説の要旨の訳文しか載せなかった。 本日の邦紙は1頁全段抜きで全文訳を、英字紙は1.5頁を…
「ユキオとバラク。チェンジの重圧で難問山積。だから普天間移設問題は先送りで意気投合」「ユキオとバラク。核廃絶に温暖化、地球規模の話に熱心で、海外の人気者。国内では・・」 A紙の今夕刊≪素粒子≫だ。今日のBarack Obama's Address in Tokyoを聴いたあ…
President Obamaが来日した。アジア諸国訪問の第一歩に日本を選んだことにPM hatoyamaは謝意を述べた。 Obama氏の訪日の直前、The NY Timesは“American relations with Japan are at their most contentious since the trade wars of the 1990s.”(日米関係は…
天皇即位20周年祝賀式典に皇居前は沸いた。今夕、日の丸を掲げた大勢の人々が集った。 二重橋で天皇・皇后が提灯を手に国民の祝意に応える。太平洋戦争勃発直後、大本営の戦勝報道に沸く臣民の祝勝提灯行列と見紛うほどだ。 が、天皇は原稿に目を落としなが…
芥川龍之介が自死する“最晩年”(1926年〜1927年)に45編の≪追憶≫を記している。当時の文藝春秋に連載され、没後『侏儒の言葉』に所収された。 “追憶”も英語で言えばrecollection:reminiscence。“思い出”とほとんど同義に扱うしかないが、日本語の意は≪過ぎ去っ…
新政権のもと首班指名後、40日経ってPM Hatoyamaが衆参両院で所信表明演説を行った。52分に及ぶ異例のロング・アドレスである。 President ObamaのChangeじゃないが、PM自身「『変革』という言葉を何度も使い国民に政治に参加してもらいたいという意志をこめ…
親父の娘相手のしつけは難しい。しかり方に苦労する。我が家など、子どもの躾について云えば、恥ずかしながら、父親の存在などゼロに等しいといわれても仕方がない。 その点、幸田露伴の娘、文に対する教育の厳しさは有名だ。その徹底振りと言葉のやり取りに…
「敬老の日」の英訳は難しい。適訳かどうかは定かではないが、手許の英字紙にそって“Respect for the Aged Day”と称することにする。 ところでこの≪敬老の日≫だが、制定当初9月15日だったものが、2003年から9月の第3月曜日に変更となった。それは良しとして…
愛読書「現代人の論語」(呉智英:文芸春秋社版)を再々読する。 「論語」は超ロングセラーだが、注釈付きや現代語訳モノなど(英訳モノもある)のサワリを読んだことはあるものの、恥ずかしながら“積読”に近い。 論語の一句を引用したまではいいが、とんでもない…
9/11から8年を経た。決然と“War On Terror”(テロとの戦争)を宣言し、その日を「愛国の日」としたGeorge Bush氏。アフガンへの猛爆、タリバンを制し、イラクを泥沼化し、国民の信を失い退場した後に颯爽と登場したBarack Obama氏、9.11追悼記念日、初の大統領…