教育

警戒すべきPeer Pressure−−bullyingに通じる

“Peer pressure and bullying go hand in hand”−本日の某英字紙のheadline--「『同調圧力』はいじめに直結」--に注目した。 Peer pressureが児童・生徒たちのあいだで強まる傾向がある。“Peer pressure refers to the pressure in individuals to conform a …

今時の塾は英語でなんと言うべき・・?

昨年になるが、私立高校の進学説明会に塾関係者をお招きした。 「塾の先生方は中学生の進学指導の第一線に立っておられます方々です」と敬意を表したまではいいが、つい「私立高校と塾との違いをあえて申し上げれば、生徒の生活指導にも力を注がざるを得ない…

成果主義と“効率”志向に走る公立学校の非文化

東京都に隣接する埼玉県の教育行政にはどうしても馴染めない。 県立高校を次々と統廃合してゆく。進路・進学実績が劣り、在校生徒の非就学率(中退・非卒業率)の高い学校は不要だという考えだ。つまり、低学力生や就学意欲に欠ける指導困難生の多い学校を極力…

心の知能指数

「子供の日」になると学校教育の役割と現代の子供の実相を考えさせられる。 某紙の編修委員が第二次大戦中、ユダヤ人迫害の中で子供たちを守ることにその生涯を捧げたユダヤ系ポーランド人、Janusz Korczak(コルチャック)先生の言葉を紹介している-- 「子ど…

“解字”から含意を紐解く

漢字一文字を解字すると含意が伝わる。 テツオ・ナジタ氏が大江健三郎氏への書簡の中で≪誠≫を次のように解字している--- 「『まこと=誠』という漢字は、知識(言葉を通して知ること=言)と行動(為す=成す)を意味する。二つの要素の融合であり、知ることと行…

動けば変わる--闇から光が射す

“議論は自由に”“研究室では平等に” ノーベル物理学賞受賞者益川先生の至言である。 高等高校においても教師達の自由闊達な議論は歓迎すべきだろう。が、議論が評論・論評に終始し、他者批判の場だけに終わっていないか。長年現場に目を注いできたボクにとっ…

The Graduatesに--現実を正面から見すえ、押し返す勇気を・・

“とかく霞むが春の癖”と云うには未だ早いが、このところ陽気が定まらないのには困ったものだ。 高校卒業式の時節がやって来た。入学願書を出すのが梅の季節、卒業式は辛夷咲く頃だ。 今日、我輩が関係する私立高校で卒業式が行なわれた。式辞や祝辞は比較的…

心揺さぶるリーダーのひと言

内政面の最大課題Health Care Reform Billをはじめ、内外の難題の解決・克服に苦悩を深めるPresident Obamaだが、大統領就任後の昨年初夏、Community Organizeのかつての上司が首都D.Cにやって来てObama氏と再会した。 「なあ、Barack、俺たちは、アメリカを…

自然に対する畏敬

Vancouver五輪がはじまった。B.C州最大の都市であり、移民の街とも呼ばれている。ボクはカナダについては不案内だ。 7年前の夏、一週間ばかりPrince GeorgeというB.Cの地方都市(田舎町)を訪れたことがある。 Vancouverから国内線で約1時間のところにある。…

窮地における優れたリーダーとは・・

国も社会も組織も優れたリーダーが求められている。 真のリーダーシップは平時のときより窮地や危機的状況に陥ったときに発揮されるものだ。 20年余深い縁の中等学校が海外にある。生徒数2500名を超える大規模校だが、90年5月、校舎が大火災に見舞われ、10教…

terrorismを生むPakistanの教育体制

米国をはじめ、西欧各国がアフガンのタリバン掃討に躍起になっているが、情勢は容易に好転しない。問題はIslam過激派を生み出す隣国Pakistanの教育制度と事情にある。 民間の子供たち対象の公教育費は極めて貧弱。Islamのエリート学徒の養成に莫大な費用をつ…

TVニュースは中身浅薄なHeadline Newsの繰り返し・・

加藤周一氏が義務教育の在り方を論じている。明確だ。「知識獲得の手段というものは言語です。日本人が必要とする言語は二つあって、国語つまり日本語と、数学なんですね。その二つの言語を使えば、よほどの専門的なことは別として、大抵のことはわかる。と…

≪新しい人≫が現れるように願いたいが・・

ボクは年賀状を書き終えるのがたいがい大晦日になってしまう。特にこれといった理由はない。新年の到来がイメージできないのと怠惰のせいである。家族に叱られている。 ヘッドラインは毎年英文である。昨年は“May Love, Peace and Prosperity Remain with Yo…

子規の≪病牀譫語≫に学ぶ

正岡子規「飯待つ間」(岩波文庫)を拾い読みする。大変な食いしん坊だったという子規。その見事な食べっぷりが、同人の人生や文章に対する徹底振りに通じていることがわかりまことに興味深い随筆選である。 そのなかの≪病牀譫語≫に教育問題に触れた一文が見ら…

お辞儀も会釈も握手もしない無機質の若者たち

先月半ば来日したPresident Obamaの共同記者会見やSpeech in Tokyoでの礼儀作法には敬服した。 一人ひとりに握手しながら頭を下げる。軽くお辞儀しながら握手する。天皇に深々とお辞儀をする。まさに日米の文化を融合した自然な作法だ。 米保守系メディアは…

「(心を育てる)母子手帳」とトップリーダーの徳とは

小中高生の校内暴力が3年間で7割増、怒りを制御できない子供たちが激増している。イジメ件数は減っているというものの、“イジメ自体が減っているのではなく、時間がたって学校のイジメ発見の取り組みに積極性が薄れ、報告が減った可能性がある”と文科省は見…

一流の師との出会い・・

50年代初めに、芸能月刊誌に『平凡』を追いかける?形で集英社が『明星』を創刊した。第1号の表紙を飾ったのが美空ひばり、70年代『平凡』に劣らぬ人気雑誌として売れ行きが伸び、同社のドル箱雑誌となった。が、今では『明星』が『Myojo』に変わり、存続し…

厳父の躾--父娘の応酬の妙・・

親父の娘相手のしつけは難しい。しかり方に苦労する。我が家など、子どもの躾について云えば、恥ずかしながら、父親の存在などゼロに等しいといわれても仕方がない。 その点、幸田露伴の娘、文に対する教育の厳しさは有名だ。その徹底振りと言葉のやり取りに…

いま尊敬される師が求められる

いま学校教育の場で、“尊敬する”“敬愛する”“私淑する”などという言葉を耳にするのはまれである。 現代の教育問題にも鋭い視点を向けて注目のU教授は「教育者に必要なのは1つだけでいい。『師を持っている』ということだけでいい」と良い教師の条件を語る。そ…

-親が子供の心のうちの変化を見抜けない

親は、子どもを小さいときから見てきている。そしてわが子のことはわかっているという自信も持っている。ところが、子どもは中学の後半、特に高校生になると、サナギが蝶になるような大きな変化をしていく。親はその変化になかなか気づかず、子どもに対し以…

注意義務の欠落、指導力不足を棚に上げて--これぞ教育の敗北

「(厳罰に処さなければ)生徒に学校が舐められる」--学校としてのメンツか! 今なお、教師間でこうした耳を疑うような低劣でお粗末な台詞がまかり通っているとすれば、残念ながら、その学校はあるべき学校としての体を成していないといわざるを得ない。 生徒…

黄昏の初秋-“流水不濁 忙人不老”?

今夕の涼しさに本物の初秋を感じ、帰路に着いた。 夕食後、昨日買った月刊誌Sをめくる。城山三郎の単行本未収録エッセイ「自作の周辺」が興味を惹く。 そのなかの『元教師の弁』が面白い。 「わたしの息子が通った学校の校長は、『日本の父』で有名になった…

亡母のしつけ、息子に贈る“心ばえ”

8月を迎えた。盂蘭盆が近づくと我が家の窓外からも蝉しぐれが聞こえる。が、相変わらず天候不順だ。中国・四国地方がやっと梅雨明けだというから驚く。関東では早々と梅雨明けしているはずなのに、今日も曇り空、一雨ありそうだ。かといって冷夏という感じは…

生誕100年の日に“武蔵野の懐かし”供える

今年はその道の大家・巨匠の生誕100年が相次ぎ、記念の催事が行われている。東山魁夷・太宰治・松本清張、そしてカラヤンだ。 私事に及ぶが、今日7月27日は我が義父の生誕100年である。 7年前、93歳で他界。その2年前の夏、「100歳まで生きるぞ」とかくしゃ…

再びSense of Wonder--“「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではない”

名著「沈黙の春」(Silent Spring)のRachel L. Carsonの遺作The Sense of Wonderを今日も拾い読み。邦訳モノ50頁余りの短編だが、詩情あふれる優しい語り口のなかに深遠で透徹した含意が覗える。 いま再び、10代後半の若者世界に身を置くボクにとっては心に…

教師のスキル・アップって何?

かなりの私立中高で予備校化が進んでいる。公立校のなかにもその傾向が見られる。日本の高校の学校評価の第一が大学進学実績だとすれば、予備校・塾などと違った公教育機関固有の学校文化はどこへ行くのか。学校文化などという抽象的で曖昧なものは不要だと…

負の痛みを語り懐かしむ者たち

還暦を迎えた者たちが我が家にやって来た。多くは付き合い40年以上の気心知れたボクの教え子たちだ。定年退職し、年金生活に入る者もいるが、中にはまだバリバリの舞台女優やTVカメラマン、個人運送業など仕事に一区切りつけることなく、現役で働く者もいる…

Untouchableな生徒はいないはずなのに・・

今朝9時半過ぎに、余りにも品位に欠け、モラルや規範意識の希薄な高校生に遭遇した。ボクの関係するHigh Schoolの生徒だった。 こうした生徒に会うと、ボクは絶対黙視したり看過したりはしない。 「どうしたんだ、遅刻して、その格好は?」まず軽く問いかけ…

率直・誠実で気取りのない新しいタイプの二人の名女優

国民栄誉賞の受賞が決まった森光子さん。半世紀以上前のご当人の境遇を振り返れば、思いもつかなかったことに違いない。今日の帝劇(国立劇場かな?)での芝居のアンコールで深々と頭を下げ、「もっとよい芝居をめざす」「引退は考えてない」と凛とした口調で…

憲法は制度ではない-歴史の所産、未来に継がれる理念(決意と希望)だ

11年前、53歳で急逝された元岩波書店社長安江良介氏のエッセー集『同時代を見る眼』を再読。その中の≪基本法としての憲法≫に改めて覚醒されられた。 安江氏は、ユネスコ憲章前文の冒頭の言葉『戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和の…