教師のスキル・アップって何?

かなりの私立中高で予備校化が進んでいる。公立校のなかにもその傾向が見られる。日本の高校の学校評価の第一が大学進学実績だとすれば、予備校・塾などと違った公教育機関固有の学校文化はどこへ行くのか。学校文化などという抽象的で曖昧なものは不要だと言わんばかりの珍奇な学校、覇道を突っ走る高校が目立つ。嘆かわしい。
埼玉の某私学、教歴25年以上の国語教師が経営者・校長が代わった途端、ダメ教員の烙印を押され、授業を取り上げられ、週七時間、生徒のいない教室で模擬授業とやらを強要され、退職を迫られているという。この先生、不服を訴え、授業復帰に向けて仮処分申請に踏み切ったとか。この高校ではすでに75名?もの教師が退職したという。唖然とさせられるが、校長・教頭は「教員の質を高めるための施策だ。授業のスキル・アップは生徒・保護者に対する学校の責任だ」と自信満々に強弁している。
それではお尋ねしたい。同校は生徒・保護者に“Strategies for Success”(生徒たちみずからが日常生活の時間をマネージメントとして学習の成果を挙げるための戦略・心得)を示しているか。つまりStudy Guideだ。

①Listen well:
→Concenrate on what's being said and tune out other  
  noise.
(教師の話を傾聴し、他の雑音に耳を貸さない)
→If it isn't clear, ask questions.(不明なことは質問する)
→Be alart to the feelings and style of the speaker.
(話者、教師の心理・感情と話し方に注意を怠らない)
→Listen for the meanings and ideas behind the actual words
(話者の言葉の裏に隠された意味と考えを読み取る)
米国の高校では公私立を問わずPrarent-Student Handbookを生徒・保護者に手渡す。各校独自の教育理念や目標、カリキュラムや校則を冒頭に掲げ、高校生として共通の学習や生活のあり方を具体的に解説している。上掲のStrategies for Successもその1つだ。“Listen well”のほかfour strategiesが掲げられている。いずれも当然のことといえばそれまでだが、我が国の学校にはほとんど見られないので明記しておく。
②Take not: ③Remember it: ④Choose the right place:
⑤Extend it:
先に問題視した極端に予備校(いわゆるPrep. Schoolなどではない。日本名物cram schoolだが・・)化した高校に限らず、『これだけ科学技術が発達している現代社会にあって、それでもなお宗教を必要だと考える理由を述べなさい』などという論述試験に我が国高校生はおろか、いわゆるエリート意識の強いメジャー大学の学生さんたち、まともに自分の考えをほ記述できますか。
この設問は、一昔以上前になるがフランス統一国家試験バカロレア(Baccalaureat)の教養試験の「哲学」の問題だ。

なかば予備校化を推進する、我が国の非文化私立高校関係者に申し上げたい。貴方がたは若者をどのような国際人に育てようとしているのか。
徹底した成果主義だと言われるが、若者、高校生の教育成果は何によって測られるのか。貴方がたの戦略は稚拙で国際基準からみて明らかに失格だ。