2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

比類なきレターライター--芥川のモラリティ

芥川竜之介の「書簡集」をじっくり何度も読んでいる。 喋るように、歌うように、流れるような手紙だ。大半は自分を語り、相手との対話を重ねている。なかでも、家族への手紙は、芥川のモラリティとヒューモアが感じられ、類稀なるレターライターと云うべきだ…

「英雄史観・回顧史観」の危さ

NHKが司馬遼太郎の『坂の上の雲』を3年かがりで連ドラする。気がかりだ。 もう15年ほど前になるが、一時期司馬作品を結構読んだ。 いまも、大手書店の歴史書コーナーには司馬作品が他を圧倒している。が、ボクはいつのころからか司馬モノを全く読まなくなっ…

解りにくいLabor Thanksgiving Day(勤労感謝の日)

昨日朝8時半頃(米国現地時間25日水曜日の午後)President Obamaからメールが届いた。タイトルは“Thanksgiving”(感謝祭)。 メッセージは“Tomorrow, Thanksgiving Day, Americans across the country will sit down together, count our blessings, and give th…

“事業仕分け人”は“(必殺)仕置き人”か?

DPJの国会運営、数の横暴「自公とどこが違うのか」。なりふり構わぬ新政権党の手法に対する憤りは、opposite partiesならずとも共通の庶民感情になりつつある。 横暴といえば、連日メディアがトップで取り上げる「事業仕分け」。医療や科学、文化、教育など…

Obama can make change happen?(オバマは変革を起こし得る・・?)

The Guardianの米国通コラムニストGary Younge氏は“Obama can make change happen”(オバマは変化を起こすことができる)とコメント。 その上で、“The wars, jobs and healthcare reform are the issues on which Obama will be judged and the political peri…

急ぎ足の旅--a lifetime experience--学ぶべきHearts and Minds

拙文のブログを一週間お留守。八日振りにrestartである。 久しく触れなかった私事を記す。 11月下旬の晩秋、思いがけなくNZに家族と出かけることになった。 35年に及ぶlongtime family friend(長年家族ぐるみでお付き合いしている親戚以上の親しい家族)が北…

Barack Obamaの急務---Burma, Chinaの人権問題への言及もいいが、国内の高失業率対策は?

Barack Obama氏はAddress in Tokyoでビルマ軍政に人権重視を促し、Aung San Suu Kyi女史を初めとする政治犯の無条件釈放を求めた。 Obama氏は国名を軍政がクーデターにより改名したミャンマーとは呼ばず、Burma(ビルマ)と呼んだ。妥当で賢明だ。 President O…

FTの信頼性と先進性

昨夜のObama's Speech in TokyoのFull Text(全文)をいち早く世界に送信したのはFT. comだろう。発信時間は現地UK時間14日午前3時16分だ。 我が方の主要紙の昨夕刊は演説の要旨の訳文しか載せなかった。 本日の邦紙は1頁全段抜きで全文訳を、英字紙は1.5頁を…

いただけないA紙の“素粒子”とObama 's Addressの要旨訳文

「ユキオとバラク。チェンジの重圧で難問山積。だから普天間移設問題は先送りで意気投合」「ユキオとバラク。核廃絶に温暖化、地球規模の話に熱心で、海外の人気者。国内では・・」 A紙の今夕刊≪素粒子≫だ。今日のBarack Obama's Address in Tokyoを聴いたあ…

1位と35位のeqaual partnership(対等な連携・同盟関係)・・可能か?

President Obamaが来日した。アジア諸国訪問の第一歩に日本を選んだことにPM hatoyamaは謝意を述べた。 Obama氏の訪日の直前、The NY Timesは“American relations with Japan are at their most contentious since the trade wars of the 1990s.”(日米関係は…

歴史に目を閉ざさない

天皇即位20周年祝賀式典に皇居前は沸いた。今夕、日の丸を掲げた大勢の人々が集った。 二重橋で天皇・皇后が提灯を手に国民の祝意に応える。太平洋戦争勃発直後、大本営の戦勝報道に沸く臣民の祝勝提灯行列と見紛うほどだ。 が、天皇は原稿に目を落としなが…

国際離婚の果ての子ども連れ去りの悲劇--日本は後進国

国際結婚が増えれば、国際離婚も増える。この場合、国際カップルの子どもはどうのように扱うべきか。この事案に関する国際条約がある。Hague Convention on the Civil Aspects of International Child Abduction(国際的な子どもの奪取の民事面に関するハーグ…

11/9 & 9/11--Fallの後のfault linesは・・

昨夜、the 20th anniversary of the Berlin Wall's fall(ベルリンの壁崩壊20周年記念日)を迎えた。当時の主要国のリーダー、そして現独露米などの首脳が集い、壁を模したブロックのドミノ現象を演出したベルリンはお祝い一色だった。1990年11月9日のベルリン…

早くアンカーにバトンを渡せと言うけれど、バトンを落としたらオジャン・・

Health Care Overhaul Bill(医療保険制度改革法案)の下院通過、僅差の可決だったが、President Obamaは議員の投票を“a courageous vote”(勇気ある行動)だったと述べ、“take the baton and bring this effort to the finish line”(早くバトンを受け取り、ゴー…

Barack Obama、2歩前進--Health Care Billの下院僅差可決の後は・・

The NY TimesからBreaking News Alert(速報)が今日昼下がりメール配信されてきた。 “Seeping Health Care Overhaul Passes the House, 220-215”のヘッドライン。発信時間は米東部時間11月7日午後11時15分。 米下院が医療保険制度改法案を可決した。賛成票は…

“足るを知る”とは?

いま、何故かAdam Smithが再評価されている。知る人ぞ知る、経済学の古典『国富論』(The Wealth of Nations)の著者、自由競争の提唱者だが、その本旨はどこにあったのか。 経済学者のM氏は「アダム・スミスの原点は道徳哲学にあった」と云う。 Adam Smithは1…

幼い頃読んだ古典児童文学の鮮烈な印象

最近、古典文学の新訳が流行っている。 J.R.Kipling(キプリング)のThe Jungle Book(ジャングル・ブック)が“All the Mougri Stories”(ニンゲンの子マウグリの物語り)のタイトルで新訳された。 ボクが10才のころ小学校の図書室で借りて読んだ海外の古典小説の…

大暴れの反逆児に喝采する日本のファン

NY Yankeesが2000年以来手が届かなかったThe World Championになった。 松井秀喜がHome runを含む6打点の大暴れ、The World SeriesのMVPに選ばれる快挙を成し遂げた。 「多くの日本人にとって松井は反逆児だ。繊細な気持ちをもつ怪物ゴリラは、激しく自己鍛…

笑う落語家と笑わぬ噺家

五代目小さんが鬼籍に入ってもう七年が過ぎた。TVの追悼番組で十八番の1つ『笠碁』を観賞した。語りと絶妙の間に観客はしきりにクスクス笑った。爆笑の場面は少ない。 同じ『笠碁』をDVDで観たがお客なしの録画取りだ。さらりとしていて笑いはなく面白くな…

一流の師との出会い・・

50年代初めに、芸能月刊誌に『平凡』を追いかける?形で集英社が『明星』を創刊した。第1号の表紙を飾ったのが美空ひばり、70年代『平凡』に劣らぬ人気雑誌として売れ行きが伸び、同社のドル箱雑誌となった。が、今では『明星』が『Myojo』に変わり、存続し…

“追憶”とはかくの如きもの

芥川龍之介が自死する“最晩年”(1926年〜1927年)に45編の≪追憶≫を記している。当時の文藝春秋に連載され、没後『侏儒の言葉』に所収された。 “追憶”も英語で言えばrecollection:reminiscence。“思い出”とほとんど同義に扱うしかないが、日本語の意は≪過ぎ去っ…