11/9 & 9/11--Fallの後のfault linesは・・

昨夜、the 20th anniversary of the Berlin Wall's fall(ベルリンの壁崩壊20周年記念日)を迎えた。当時の主要国のリーダー、そして現独露米などの首脳が集い、壁を模したブロックのドミノ現象を演出したベルリンはお祝い一色だった。1990年11月9日のベルリンの壁の崩壊は、その後3年後に起こったソ連邦の解体と並んで冷戦時代の終焉を告げる最も重要な出来だった。

が、共産圏の中では最も経済的発展を遂げたといわれ、強固な共産主義体制を確立していた旧東ドイツでその支配の中枢を担っていたStasi(シュタージ:秘密警察)については、東西ドイツ統一後も長らく明らかにされるのがタブー視されてきた。ようやく17年経った2006年映画「善き人のためのソナタ」(Das Leben Der Anderen)によった実態が蘇った。おぞましくも鮮烈な印象を刻印した名画であり、ボクも都内の名画座で食い入るように観た。
20世紀は戦争の世紀であり虐殺の世紀だった。共産主義社会主義国家体制の消滅はユーゴスラビアの解体へと波及し、後遺症として1991--2000年、悲惨なユーゴスラビア紛争が発生した。「虐殺の世紀はもう幕をひかんといかんね。だいたい国家の枠にとらわれるのがよくないんだ。来世紀は日本人も世界人となるべきだね」と故堀田善衛氏は述べているが、モザイク国家ユーゴーの紛争は民族間・宗教間の殺戮の連鎖であり、相互の民族浄化の惨劇だった。

ブレジンスキー氏の1993年の計算によれば、20世紀に人による命令、あるいは決定により殺された人々のその数は1億6700万人にのぼるという。さらに前世紀末のユーゴ解体に起因する民族紛争の惨劇による夥しい数の犠牲者が加わることになる。
東西冷戦の終結はグローバリゼーションとsuper power米国の一極支配を生んだ。これに待ったをかけたのが2001/9/11のWTCに対するTerror Attack。Twin Towersのfallである。そしてBush氏の“War Against Terror”(対テロ戦争)なる威勢の良いツルの一声で、いまなお出口なき戦いが続き、泥沼化の様相を呈している。
東西ドイツの統一後20年を経た今、旧西側と東側の経済格差は埋まらない。東の失業率は西の2倍に達するという。
11/9も9/11もhaves(持つ者)とhave-nots(持たらず者)との半ば絶望的断層(fault line)が大きな背景にある。


かかる極限の体験もなければ、前線基地にも身を置かないボクたちはいかにあるべきか。
かつて酒井啓子氏が次のように語っている。改めて噛みしめたいものだ。
「実体験や映像が持つインパクトの大きさに目を眩ませられる前に、語られた言葉を地道に聞き届けようという熱意を持つことを是非ともお願いしたい。イラクの人は、言葉を持たないのでも、声を出せないのでもありません。実体験や映像がなければ理解できないという鈍感さを捨てて、必死に語りかけられる言葉に真摯に耳を傾け、誠実にそれらに応えることが必要とされているのです」
今のアフガンの現状にも関わる指摘だ。