歴史に目を閉ざさない

天皇即位20周年祝賀式典に皇居前は沸いた。今夕、日の丸を掲げた大勢の人々が集った。

二重橋天皇・皇后が提灯を手に国民の祝意に応える。太平洋戦争勃発直後、大本営の戦勝報道に沸く臣民の祝勝提灯行列と見紛うほどだ。
が、天皇は原稿に目を落としながらも厳粛な言葉を重ねた。
「・・過去の事実をしっかり確かめ、未来の教訓にしなければならない」
統一ドイツの初代大統領Richard von Weizsacker(リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー)の名言「過去に目を閉ざすものは将来に向かって盲目である」を髣髴させる。

Sir Winston Churchill(ウィンストン・チャーチル)も「過去を知らぬものは未来を失う」と同じようなことを言っている。
我が国でも物理学者の寺田虎彦が「歴史は繰り返す。法則は不変である。それ故過去の記録は又将来の予言である」と語っている。
とは言え、言わんとする意味は変わらないかも知れないが、ヴァイツゼッカーの言葉は格段に重い。何故なら、ナチスの呪縛があるからだ。
同じように、今夕の天皇の言葉は重いものがある。あの20世紀前半の神国・軍国日本の呪縛が全く無いとは断言できないからだ。


天皇のお言葉を受けて祝賀のライブを謳いあげたアーティストはExile。グループ名がよろしくない。Exileとは「亡命・流浪・流罪人」を意味する。忌み言葉だ。記者会見での皇后の“高齢者に対する社会の動向を憂う言葉”がズシリと心に響く。