TVニュースは中身浅薄なHeadline Newsの繰り返し・・

加藤周一氏が義務教育の在り方を論じている。明確だ。「知識獲得の手段というものは言語です。日本人が必要とする言語は二つあって、国語つまり日本語と、数学なんですね。その二つの言語を使えば、よほどの専門的なことは別として、大抵のことはわかる。ところが、どちらか欠けていると、獲得できる知識の範囲が急に減少します」

仏語はもちろん、英独語にも通じていた加藤さんは日本語をとても大切にした。その的確さには舌を巻く。数学を言語として扱うのも加藤さんならではだ。
岩波の「世界」元編集長安江良介さんが現在の大学受験システムが招いている大学生の読解力の低さを嘆いている。
「大学教育の実質は一年半ぐらいだという。彼等の読解力は著しく低い。学生らしい読書は少なく、多くは世俗な浅薄なものに傾きやすい」
「大学は志願者を半年ほどの時間をかけて選ぶべきではないか、と私は思う。現在のペーパーテスト偏重を断然やめて、基礎学力に関わる何回ものテストや何回もの面接--というよりは志願者と教授の話し合いによって、学生の適性と力量をみるようにしたい。加えて、入学後は、読書指導の単位を全学年を通して必須として学生に取得させるようにしたい」
最近最も気になる点の一つは高校生のなかで新聞をとっていない家庭が多いことだ。
新聞販売収益が続落しているが、高校生や大学生は新聞の代わりにネットcomで内容のある社会の情報・知識を得ているだろうか。

国内外の動きをTVニュースだけに頼るのは危険きわまる。最近の我が国のTVニュースの基本的欠陥はなんだろう。大概のニュースの報道事項は限られ、精々10項目程度。それも朝・昼・夕と時間が経過しているにもかかわらず、同じ映像とコメントが繰り返される。どの局のニュースも似たようなもので、浅薄かつ平面的だ。

往々にして我々は、TVに映ったものだけが事実であると錯覚し、TVに引きずられている。
TV報道の考えは、事件の映像を見せるだけで事件の意味を説明しつくせる、という考えだ。この傲慢さと浅はかさに寄りかかり、新聞などの紙誌を読まない。
CNNのHeadline Newsと同じ程度の日本の多くのTVニュース。“誇張と省略”によっては事の真相・深層は読み取れない。