政冶は強者のものか・・?政党は≪徒党≫か?

あれから15年。神戸の震災跡に1.17を型どった蝋燭の灯が揺らぐ。家族を失った初老の婦人が「ただ祈るだけです」と手を合わせている。まだ夜も明けぬ、寒空の下での鎮魂である。

Haitiの惨状に言葉はない。首都機能が完全に麻痺し、罹災者300万人、全人口900万人の3分の1にあたるという。犠牲者の数は想定できない。
この中南米最貧国に米国をはじめ大国が大規模な支援を発表。次々と救援部隊、救援物資、医薬品を送り込む。大国でけでなく、小国や貧国も支援に乗り出した。金融危システム崩壊の傷が癒えぬアイスランドも先陣を切って、37人から成る国際捜索・救助隊を地震発生翌日の13日に現地に送り込んだ。


世界最貧国バングラディシュまでもが医療要員を派遣した。アイスランドは火山による地震の多い国だ。バングラディッシュは昨年サイクロンによる大被害に見舞われた国である。そこには共感(sympathy)が窺われる。
日本はどうか。「日本は地震大国。様々な経験と教訓を得ている。ハイチの人びとの復興のため出来る限りの協力をすることを誓う」と16日、PM Hatoyamaは胸を張ったが、出遅れは否めない。FM O氏は15日「現場は非常に混乱し、連絡もとれない状況だ。何が求めらてれいるのかしっかり見極めた上で行動するということは議論があるところだと思うが、間違ったやり方でないと思っている」と強調。緊急無償資金協力は約4億5000万円を上限。各国を意識したもので、「他国にひけをとらないぐらいの額をかき集めた」と外務省幹部。
この金額、今注目のDPJ最高司令官O氏への政治資金をもってすれば片付く程度のものだ。

そういえば、19年前(1991年)巨大サイクロンが世界最貧国バングラディッシュを襲った。被災者1000万人、死者12万人以上に及ぶ悲劇である。この惨事は地球温暖化による海面上昇がもたらしたものでもある。当時、政府専用機をもってASEAN五ヶ国を訪問していたPM Kaiafu(当時)、短時間でもバングラディッシュを見舞うことすらしなかった。
“国民の生活第一”“コンクリートから人へ”をキャッチフレーズに我が国政治の在り方を抜本的に変えると意気込み政権についたDPJだが、LDPと体質は似たようなものだ。
つくづく政党とは何かを考えさせられる。政党は英語で言えば“(political)party”だが、“part”の原意は、単なる部分ではなく、“全体の一部”である。「政党の現状にはそうした『全体の一部』としての責任意識は見られず、利己的集団、即ち、『徒党』に陥っている」と識者は語る。
DPJは、長く続いた55年体制、わが国の政治旧態の“歴史の清算”を目ざしているはずだ。DPJの歴史認識はどうか。
「私たちが歴史の清算に努めるのは、みずからの正義を恢復したいと強く希うからなのだが、内面に正義を恢復することは、事実を追求し、とらえようとする誠実な努力と表裏をなすものだと思います」と元「世界」編集長Y氏は述べている。

DPJ最高実力者O氏のみならず、現為政者の政治信念を伺ってみたいものだ。加藤周一氏は「信念」に関し、自らの立場を実に明確に語っている。
「私は世の中の『強き者』を好まない」「『強き者』は、総じて、自己の信念から導き出した結論を、『弱き者』に押し付ける傾向が強いからである」
即ち、政治のなかで「黙殺される側に立つ」という選択だろう。