今時の塾は英語でなんと言うべき・・?

昨年になるが、私立高校の進学説明会に塾関係者をお招きした。
「塾の先生方は中学生の進学指導の第一線に立っておられます方々です」と敬意を表したまではいいが、つい「私立高校と塾との違いをあえて申し上げれば、生徒の生活指導にも力を注がざるを得ない点にあります」と口を滑らしたところ、塾関係者から反論を喰らった。「我々塾も塾生の生活指導はちゃんとやっている」とのことだ。
お蔭で、我が国のこんにちの“塾”の性格を欧米人に説明しなきゃならない場合、英語一語でなんと言うべきか。この頃大いに迷っている。

今までは当節激化する進学塾のことを“a cram school”と言っていた。≪補習塾≫なら、いささか説明的に過ぎるかも知れぬが“after-school lessons to supplement schoolwork”テナところだろう。

cramとは<詰め込み><その場しのぎのガリ勉>を意味する。大学進学予備校も“cramming school”でも意味は通じるだろうが、“coaching school”と訳した方がいいかも知れない。
が、現実の塾はこれまでの既成概念をかえなきゃならないほど激変・多様化しているようだ。まず集団指導型から、生徒1人〜4人程度に講師一人という個別指導スタイルに変わりつつあるという。こうなると、お絵かき教室や家庭教師に近いprivate lessonsとなる。
「強制力がないと学びに向かえない層が増えてきている」「自分で学ばないと力はつかない。だが、そこに到るために背中を押してあげることが求められているのです」塾講師のコメントだ。学校の現場教師にとっても傾聴に値する。

その上、“人生も一緒に考えよう”と付加価値満点だ。学習・勉強の先にあるのはemploymentだというワケだ。
某塾長曰く「就職は最大の難関であるとともに、幸せな人生への入り口でもある。勉強の先にあるものを意識してやる気を引き出したい」
頭が下がる。「学校より塾の方が、子供の成長を真剣に考えてくれているかも知れません」とある母親は言う。
とは言え、子供を塾に通わせる親の悩みは複雑だ。塾選びの眼も厳しい。


「高い月謝を払うからには、受験勉強させる意義を納得したうえで通わせたい」いわゆる“お受験”と揶揄されようが、これが親御さんの本音だろう。
個人指導塾に通ったが成績が伸びない。2対1のスタイルからマンツーマンの形の塾に毎日通わせた。それでも成績は低迷。

「遅れているから受講数を増やしたほうがいい」と云われたものの、余計に費用がかさむ。「塾に乗せられて勉強量ばかり増やしても、本当の力はつかない。自分の子供のペースでやらせないと」
かくしてこの母親、家庭教師に変えたという。
塾だけではない。勉強時間・学習量を増やしても、子供の習熟度・理解力・学力が伸長するとは限らない。

やはり最後はQuality Educationの有無が問題となろう。