(続)No Shrinking(縮みこむなかれ)

昨日、ドイツ統一20周年(Unified Germany)の節目に触れたが、当時国ではドイツ語のWiedervereinigung(再統一)と呼び、プロイセンによる1871年ドイツ統一と区別しているという。
89年、ソ連・東欧諸国の旧体制が次々と揺らぎ、ベルリンの壁の崩壊につながったわけたが、翌90年3月に東独で実施された選挙結果がこの“統一”の性格を決定づけることになった。東西対等平等の統一ではなく、西独による「併合」でのドイツ統一を唱えた勢力が勝利。米、英、仏、ソ連東西ドイツを加えた6ヶ国外相会議(2+4)が同年5月ドイツ統一で合意した。かくして東独は、同10月3日、ドイツ連邦共和国基本法による「併合」手続きにより統一されたわけである。





以来20年、旧東独地域と旧西独地域の経済格差は今なお大きい。東の一人当たりの国内総生産は西の7割強、失業率は2倍近い。若者を初めとする東の人材が西へと移ってゆく主要因となっているのがこの経済格差だ。
bi-racialを推進せんとするドイツだが低賃金で働く不法移民問題もあり、ネオ・ナチの台頭のような新たな国粋主義的動き、内向き志向も否定できない。
それでも、ドイツ国民の世論の大勢は東西統一を評価し、“心の壁”も徐々に消えゆく方向にあるという。米国President Obamaは「ベルリンの壁崩壊が、欧州大陸や全世界に希望と喜びの気持を解き放ち、かつてないほどの自由への扉を開けた」と指摘。独統一20年に祝意を述べ、ドイツの果たしてきた歴史への貢献に敬意を払った。
が、当の米国はどうか。内に向かって、shrink(縮こまる)するのではないかと目がはなせないのが11月のmid-term electionだ。4週間後に迫ったこの中間選挙。当事国だけではなく、我が国主要紙などメディアは一斉にBarack ObamaのDPの大苦戦を伝えている。上下両院ともGOPが制するのではないか。これが目下の大方の予想だ。
とは言うものの、昨日のThe NY Times-International Herald Tribuneによれば“House Majority Remains Uncertain, Republican Say”。GOPも下院選挙の展望を不安視、先行き不透明感が滲み出ている。


GOPの別働隊、anti-Obamaを掲げる超保守派Tea Party Movementが8月28日、10万人規模の大集会をD.Cの中心部National Mallで開き気勢を上げたが、同じMallで2日、DP支持層のリベラル派が結集した。集会には労働団体やNAACPなどの人権団体、反戦・平和・環境保護団体など全米200団体が参加。黒人運動指導者Al Sharpton師が「08年は終わりではなく始まりだ。4週間後の中間試験、中間選挙に備えよう」と訴えた。

Tea Partyの参加者のほとんどが白人だったのに対し、2日の集会“One Nation Working Together”は、白人・黒人が相い半ば、ヒスパニック系も少なくない。

問題は集会参加者数だが、我が国主要紙A紙は「数万人程度のリベラレル派」だとしているが、別の某紙は“米首都に20万人”との見出しで、「主催者発表で17万5千人〜20万人が全米各地から参加」したと報じる。
リンカーン記念堂の集会風景を写真で見ると20万人は大げさのようだが、数万人ということはなかろう。
メディアには誇張はつきものだが、逆にshrinkしてしまったらオシマイだ。