“内向き”、shrink(萎縮)に向かうべからず!

都民の日の1日、多くの企業で来春入社予定者の採用内定式が開かれた。内定者は喜ばしいことだろうが、就職活動に苦闘する大学四年生も少なくない。来春採用者減の企業が後をたたないからだ。就職二浪組もいる。一方、大学3年生の就活がスタートだというからメチャクチャだ。
文科相は経済団体のトップに企業の採用枠の拡大と卒業後3年は新卒扱いするように求めるという。
これじゃ若者の“内向き志向”がますます強まるのも無理もない・・?

“内向き志向”は日本だけではない。来月初めに中間選挙を控えた米国がそうだ。米国はいま21世紀版“恐慌”にあるのではないか。President Obamaは歴代大統領が着手しなかった国民皆保険、Wall Streetへの規制強化、$8000億にも及ぶ景気刺激予算の導入など任期前半で次々と実績を積み上げてきた。
が、異様なまでにグローバル化が肥大化した経済はObama氏もコントロールできない。政府が巨額の税金を注いで自動車産業や金融大手を立ち直らせたものの、失業率が改善しない。昨年の貧困層の増加数は過去30年で最悪、米国民7人に一人が貧しい。(以上10/3付A紙引用)
因みに連邦政府の定める2009年度貧困ライン(Poverty Line)は独身で年収$1830(100万円弱)、4人家族で$22050(200万円弱)。

Barack Obamaの困難なチャレンジの1つは明確だ。長年のバブル景気に漬かった社会構造の改革だ。世界からの借金でモノを買い、投資を増やした「消費大国」から、製造業が主導する「モノ作り大国」への転換だ。これは雇用拡大と金融危機の再来防止につながる合理的な道だが、大衆人気につながらない。(同上)
そこにつけこんだのが“Tea Party”旋風。anti-Obamaキャンペーンに狂奔し、いくつかの州の中間選挙予備選を制しつつある。
Tea PartyはGOPを勢いづかせているが、主張が極端で超保守的、rich whiteの既得権益擁護集団と言えよう。

Tea Partyに対抗して現地時間の2日、D.Cのリンカーン記念会館の広場で“One Nation Working Together”の革新グループが大集会を開いた。参加者は約10万人、Obama政権のDP支持者らだ。
スローガン・ボード“Hope, Not Hate, Faith, Not Fear. Yes We Can”が揺れる。これこそ米国建国の精神だろう。

アメリカは、IraqやAfghan情勢に眼を注ぐ余裕などないようだ。足元ばかりを見つめ内向き志向が強まっている。
EU圏を主導するドイツが統一されて今日でちょうど20周年になる。1990年10月3日東西ドイツが統合された。German Unity Dayだ。本日の某英字紙は“Unified Germany:20 years of progress, friendship”と二十年の同国の発展と我が国との親善を謳歌。“150 years of friendship with a future”と未来志向のもと「日独交流150周年」を祝っている。


ドイツはあのNaziによる悪夢の時代の教訓にたち、bi-racialを国是の1つとして掲げ、多民族国家に変貌している。そのツケとでも言うべきか、外国人の不法就労問題で頭が痛い。そのため最低賃金制度が曖昧だ。労組は時給7.5€を掲げているが現実は4.5〜5€。月収800€(約10万円)と貧しい。
今日の某邦紙の一面トップは「年収200万円以下の民間労働者4人に一人」。昨年度の「民間給与実態統計調査」によるものだが、全国で1100万人に迫り、中間層の貧困化が顕著になりつつあると報じる。
とは言え、アジア各国の最低賃金の差異には唖然とする。
日本は月額$1,386、韓国ソウルで$584、中国上海は$140だ。

最貧国はバングラディッシュ?−僅か$24、日本円で月収2000円程度だという。ケタ違いに“豊かな”ニッポンと云えば、叱られるだろうが、中国に続く繊維産業の輸出拠点としていま注目されているバングラディッシュ。月2000円では堪ったものじゃない。繊維産業のデモが頻発しているのもの当然だ。

アジア諸国の現状は・・。世界は広い。自分の身の回りのことばかりに眼を奪われている場合じゃない。内向きに“shrink”(縮こまって)はいられないだろう。