Obama's Warsに出口無し?

Bob Woodwardの近著(今年7月初版)“Obama's Wars”を購入した。

The Washington Postの現副編集長Woodward氏。1970年代前半、Carl Bernsteinと共にThe Watergate Scandalを徹底追及し、74年8月President Nixonを辞任に追い込んだ駆け出しの記者として名を馳せた。邦題「大統領の陰謀」として映画化されたAll The Presidential Men(1974年)を著した後、2002年にBush's Warを出版。2001/09/11のterrorist attacksに対する米国民の反応とアフガン戦争の実態を暴き、さらに2004年には“Plan of Attack”。この中では同氏はイラク大量破壊兵器の存在をめぐるCIAの動きと戦争処理計画を描いている。

今度の“Obama's Wars”はイラクからの軍事作戦を終え、駐留軍を段階的に撤退させ、Afghanistanに戦力を増強、テロリストに対する主戦場をAfghanへと舵を切ったBarack Obamaの葛藤を描く、大統領モノの第四弾である。『ブッシュの戦争』が単数のWarとなっているの対し、『オバマの戦争』がWarsと複数になっているのは何故か? 恐らく、Afghanistan-Pakistanにまたがる戦争だからだろう。

増兵をめぐって、戦場の司令官とThe White Houseのせめぎ合いが続く。The Washington Post紙は、OBAMA'S WARS:NO OPTIONと題してBob Woodwardのこの近著の主要部分を連載している。

本日Y紙に配信された“Obama's Wars”の一節。Headlineは“Military leaders thwarted president seeking exit plan in Afghanistan”(駐留軍上層部、大統領のアフガン出口作戦を阻止)。


が、当のPresident ObamaはAfghanのことだけを構っていられない。11月の中間選挙に向けて足元に火がついている。先日ウィスコンシン州立大学に入り、民主党支持者に改めて支持を必死に訴える。Tea Partyの出現異変とも相まって、GOPに完全に押され気味で上院・下院とも形勢不利に置かれている。
Wisconsin州と言えば、米国有数の酪農地帯だが、酪農経営者が悲鳴を上げている。労働者として欠かせないのがヒスパニック系移民だが、不法移民の入国に対する白人(多くはGOP支持者)の猛反対に遭い、政府が国境線の取り締まり強化に乗り出したからだ。既に30万人以上が国外追放されている。「Obama氏の選挙公約はどうなったのだ!」と2年前の支持者は落胆と不信を深めている。


ヒスパニック系の移民・入国を緩和すれば白人が黙っていない。背景に一向に改善されない経済情勢、不況、雇用情勢がある。失職中の白人が増えているからだ。60年代の南部に見られた黒人排斥ほどではないが、やはり米国に潜在する人種問題が垣間見られる。

ヒスパニック系の(不法)移民問題で、厄介なのは“Poor White”の増加だ。President Obamaの立場は揺らぎ、板ばさみに立たされている。
内憂外患のなか出口無しのBarack Obamaの支持率は低迷し、苦悩の日々は続く。側近の大幅な改造で態勢を立て直すことができるだろうか・・?