難しい“語違”---平和・平安・平穏と変化・新化

今日二日、皇居で恒例の一般参賀が行われた。天皇のメッセージの結びは「・・世界の平安を祈ります」。平和ではなく“平安”と仰るところがいいと思う。

平和も平安も“peace”を意味するだろうが、平和という言葉は今の国際情勢から見れば、ありきたり過ぎて、一方でいささか政治色を嗅ぎ取る者もあろう。平安は古風・厳かでまさに“波風が立たない”言葉だ。

一昨年の漢字一文字が「変」、旧年は「新」だった。併せて“変新”又は“新変”なる語は如何かしら?
“Make a fresh start”とは新たに出発するというより、心機一転、出直しの意味が強い。
「気持ちを新たにして云々・・」とか「自己変革」などと言うがは簡単だが、変化には痛みを伴う。ましてや、老いも若きも“新変”するのは至難の業だ。ならば変化(へんげ)と呼ぶべか。

昨年の賀状に≪変化するに躊躇せず・・≫などと大見得を切ったが、旧年を回顧すれば内心忸怩たるものがある。
因みに易経のなかに≪君子は豹変し、小人は革面す≫とある。が、この真義を知らぬ者多し。
元旦のA紙特別版に今年の大河ドラマ龍馬伝」の主役を演じるFさんの抱負が載っていた。
「思えば、新たな表現に挑む時はいつも自分が『知らない人』のように映る。
『自分を切り離すのがエンターテイナーの仕事だと思う。変わることに躊躇はない。むしろ、変化を呼び込む人間でありたい』」
entertainerの意味が曖昧だが「芸人」の意味か。ともあれ、この心意気は天晴(あっぱれ)だ。骨太で思索する俳優のようだ。
天晴れではないが、本日は天気晴朗で波静かなりだった。平穏と云うべし。
正岡子規の語呂合わせの一句---
 平穏と祈りしかひも荒海や