忘れられぬ言葉との邂逅

もう旧聞に属するかも知れぬが、大江健三郎氏が講演のなかで“引用”した言葉“意思的楽観主義”。『苦しい場面に置かれた時に物事の悪い局面に目がいくのはある意味で自然である。困難な場面において、その状況の積極的な面を見出すには、見出そうとする意思が必要である。この苦境を変革し、乗り越えて、新たな状況、新たな未来を作り出すのだという意思である』と意味づけられよう。ボクはスタッフ・ミーティングの場で、この言葉を織り込むことが少なくない。心に染み入る貴重な言葉である。

昨日NHK総合の≪クロ現≫でNobel Prize in chemistry受賞者の一人、米Purdue University根岸英一特別教授の口から“eternal optimism”(永遠の楽観主義)なる言葉が飛び出た。同教授は自身「究極の楽天家だと思う」と自称されている。
科学研究者としての“究極”の態度はかくあるべきなのだろう。

そして同教授は“Serendipity”という言葉を使われた。この言葉は日本語一語に訳すのがほぼ不可能な難解な言葉だ。
google辞書を拝借する−−−
Serendipity is the effect by which one accidentally stumbles upon something fortunate, especially while looking for something entirely unrelated. The word has been voted as one of the ten English words that were hardest to translate in June 2004 by a British translation company. However, due to its sociological use, the word has been imported into many other languages”
英国翻訳会社においても最も翻訳困難な10語に含まれているserendipityだが、多くの他国語に輸入されているというから余ほど意味深いコトバだ。


特に科学研究分野においては“邂逅”とも呼ぶべき用語だろう。
かつての日本学生科学賞審査委員長OM教授がSerendipityとは何たるかを明快に意味づけている。
「科学研究にとって大切なことが二つある。第一は目標の設定。次はセレンディピティSerendipity)である。目標をどう決めるかは科学研究の成否を決める大変大切なことであるから慎重に決めて欲しい。そして一度決めたら脇目もふらずに目標に向かって努力する。あとはセレンディピティを信ずること。つまり、“偶然に幸運な予想外の発見をする才能”を信ずることである」
本日のメディアは“Mision Cumplida CHILI”(=Mission accomplished CHILI)


≪チリ任務遂行≫のHeadlineが躍動。この≪快挙≫をある種の“意思的楽観主義”とSerendipityの所産だとするのはこじつけだろうか。オペレーションのタイトルはPhoenix。現地のキャンプ村は「希望」だった。