心揺さぶる言葉の背景にあるものは・・

A紙の夕刊に≪あすは何の日≫なる小欄がある。明日4月4日はMartin Luther King, Jr.が暗殺された日である。
キング牧師は労組のストの応援に来ていたMemphisのモーテルのバルコニーで白人の凶弾に斃れた。1968年、あの衝撃の日から早や42年になる。



犯人は誰か。強盗の常習犯で脱獄を繰り返していたJames Earl Rayの単独犯とされているが、自供の3日後「自分は陰謀に巻き込まれたのであって、犯人は別にいる」と犯行を否認した。JFK暗殺と同じく謀略説が有力だったが、J.E.Rayは服役し70歳で獄死した。

39歳の若さで逝ってしまったキング牧師、他界後18年後の86年、米国は1月20日キング牧師生誕記念日を国民の祝日に指定しこんにちに至っている。
19世紀最高の演説がAbraham LincolnのGettysburg's Speechだとすれば、20世紀最高のスピーチはM.L.King Jr.による1963年Washingtonでの“I have a dream”Speechだろう。

65年3月15日、下院での“The American Promise”Addressも有名だが、ボクがしばしば引き合いに出すのは“I have a dream”speechの次の一節だ。
“I say to you today, my friends, that in spite of the difficulties and frustrations of the moment, I have still a dream”
「幾多の困難に直面し挫折を繰り返そうとも、私にはなお夢がある」
この揺るがぬ信念こそ、こんにちに生きる我々や若者たちが学ぶへきものだ。
なぜキング牧師の言葉が米国人のそして多くの世界の人びとの心を揺さぶったのだろうか。それは牧師の偉大な人柄にある。

≪Words That Shook The World---100 Years of Unforgettable Speeches and Events≫の編者Richard Greene氏が≪The Person--Qualities of Greatness≫と題して次のように評している--
“His unequivocal commitment to nonviolent change in face of great pressure, his intellect, integrity, passion and his extraordinary gift for words allowed all people, black and white, to be moved by the wisdom of his message”(途方も無い抑圧に直面しても揺るがぬ彼の非暴力変革への絶対的な忠誠心、そして知性と高潔さと情熱と類稀なる天性の言葉力によって、彼の叡智のメッセージが、黒人・白人の別なく、全ての人びとの心を揺さぶったのである)
まさに稀有なHearts and Mindsの持ち主だったわけだ。

時代こそ違え、Barack Obama氏はM.L.King Jr.を髣髴させると云ったら単純だと嗤われるだろうか。intellect, integrity and passionはPresident Obamaのqualitiesにも当てはまるだろう。
≪今、貧富の格差やアフガニスタン戦争という難題を抱える超大国にあって、建国史上初のアフリカ系(黒人)大統領バラク・オバマ氏は、どんな夢を紡ぐのだろうか≫
A紙はこのように当欄のコメントを結んでいる。