熱帯密林湿地帯の気候変動(地球温暖化)への知れざる影響--環境対策コストは経済的に有効

COP15の成り行きに世界の目が注がれている。
copといえば、policemanのスラングというよりcolloquial American Englishだが、本件とは無縁だ。
COPは、締約国会議(Conference of Parties)の略、即ちCOP15とは国連気候変動枠組み第15回締約国会議。目下、コペンハーゲンで開催中だ。
街中は激しいデモが繰り広げられ、暴徒化した多数の参加者が当局に拘束されるありさまだ。

上のデモのプラカードにNature doesn't compromise(自然が歩み寄ることはない)とある。
問題はその自然だ。熱帯地方の密林が二酸化炭素排出の貯蔵庫になっているという。世界最大の泥沼湿地として知られているインドネシアのKampar Peninsula。金儲けにはうってつけの潤沢な森林の宝庫のようなものだが、世界最大の二酸化炭素埋蔵量が存在するのもこの密林地帯なのである。こうしたなかで、いま世界各国政府は地球気候変動問題の解決の道づくりに向けて悪戦苦闘中だが、この密林に埋蔵されている二酸化炭素が現在漏れ出しているから厄介だ。

密林に幾すじもの河が集まり運河が出来ている。適法・不法を問わず、利用されているこの運河、Kampar半島の人が踏み込めない奥地にまで伸び、徐々に泥炭地が干上がり乾燥することにより二酸化炭素を排出。その夥しい排出量により、インドネシアを中国・米国に次ぐ世界第三の温室効果ガス排出国にしてしまっている。
Paul Krugmanが“Affordable Climate Truth”(受け入れ可能な気候変動対策の真実)とし題して次のように述べている--
“Maybe I'm naive, but I'm feeling optimistic about the climate talks in Copenhagen. It's encouraging to see developing countries--including China, the world's largest emitter of carbon dioxide--agreeing, at least in principle, that they need to be part of the solution.”
「少し甘いといわれかも知れないが、私はコペンハーゲンでの気候問題会議を楽観視している。世界最大の二酸化炭素排出国の中国を含め、発展途上国が、少なくとも、解決策の必要性について基本的には合意しているということに大いに励まされるからだ」

“...We'll also, however, hear cries that climate-change policies will destroy jobs and growth”「とはいえ、気候変動対策が雇用の喪失と発展・成長を阻害するとい悲鳴も耳にする」
“The truth, however, is that cutting greenhouse gas emissions is affordable as well as essential. Serious studies say that we can achieve sharp reductions in emissions with only a small impact on the economy's growth. And the depressed economy is no reason to wait--on the contrary, an agreement in Copenhagen would probably help the economy recover. ”
「が、事実はこうだ。温室効果ガス排出量の削減は必要不可欠であるばかりか受け入れ効果があるというこだ。真面目な研究によれば、経済成長にほんのわずかストップをかけることによって、排出ガスの大幅な削減が成しえる。こうした施策に待ったをかける理由は全く見当たらない。むしろ、逆にコペンハーゲンでの合意はおそらく経済回復を促す結果になろう」
2008年度ノーベル経済学賞受賞の米経済学者P. Krugmanの論調だけに注目に値する。
The NY Times Weekly Review最新号掲載の同氏の上のコラム記事の小見出しは“The cost of saving our planet from environmental catastrophe is bearable”(我が地球を悲劇的環境破壊から救済するために要するコストは許容可能だ)とある。