総選挙キックオフ−世界の目は?

「今日、各党首が街頭で第一声。日本で10年以上見られなかった最も白熱する選挙戦がキックオフ。55年体制のほとんどの期間政権を握っていた政党自身、勝ち目は薄く負け戦を覚悟」とAP電は伝える。

The NY Times東京支局長は今回の総選挙について「米大統領選に似ている」とコメント。その上で「今度の総選挙に、私は昨秋の米大統領選に共通するものを感じる。支配政党が疲弊して世論から離れ、政策も効果を失っている。人々はこれまでと違うものを求めている」「政権交代は政府を軌道修正する非常に大切な手段だ」と注目しながらも「日本の二大政党の主張には社会を二分するほどの違いはない。国民は『反自民』の意味で民主党を支持しているように見える」と但し書き、「政権争いに敗れた政党が、もう一方にくみせず、次の選挙まで『価値ある野党』に徹することができるかが問われる」と傾聴に値するオチをつけている。
が、The NY Timesの本家のAsia Pacific(アジア太平洋)欄に“Campaigns Begin for Hotly Contested Japan Election”の記事は見られない。“Kim Dae-jung,83, Ex-President of S. Korea, Is Dead”の大見出しで元韓国大統領金大中氏の逝去を大きく報じる。

Kim Dae-jung氏の生涯はまさに波乱万丈だった。パク・ヒョンヒ軍事独裁政権に真っ向から抗し、一貫して政治的自由を求めるこの大衆政治家は46歳で大統領選に挑戦することにより、パク・ヒョンヒの憎悪を買った。その象徴的事件が都内のホテル・グランドパレスでのKCIAによる拉致事件。辛うじて殺害から逃れ、その後米国へ亡命、さらには光州事件の扇動者として死刑判決を受けるという生死の境をさ迷いながら、1998年四度目の大統領選に挑戦、韓国初の野党リーダーが勝利を収めた。

金大中氏といえば“Sunshine Policy”(太陽政策)を引っ提げてPyongyangに出向き、Kim Jong-ilと笑顔で握手したことだろう。

日本は、かかる不死身の闘士Kim Dae-jungに匹敵するトップ・リーダーの登場は到底期待できない。
The NY Timesは日本の真夏の総選挙を単なるAP通信で伝え、Kim Dae-jungの訃報をGlobal Editions/Asai Pacific欄に詳報する。
主要米紙の扱うDomesticとInternationalの視点の違いが解る。
因みにThe TimesやIndependentなど英紙には我が国総選挙に関するコメントは全く見られない。