Sunshine Policyの評価は分かれれているが・・

一昨日逝ったKim Dae-jung。享年85歳と各紙が報じる中で、The NY Timesだけが83歳。誤報かと首を傾げていたところ、今朝のN紙が≪おことわり≫を出した。「これまで金大中氏の年齢について、戸籍上の生年月日1925年12月3日を基にしてきました。しかし生前、本人は著書などで実際の生年月日は24年1月6日であると述べており、韓国でも死去を機にこの生年月日が使われています。このため享年は85歳とします」
戸籍の記載とご本人の告白との違いである。戸籍に基づくThe NY Timesの報道が先行したまで。これこそNews Alertだ。

各国首脳から弔意、さらに北朝鮮も弔問団を送るという。韓国自体も国葬を計画しているようだが、歴史的な南北首脳会談を実現し、Sunshine Policy(太陽政策)を打ち出した民主化の闘志も本国では評価が分かれている。米紙CS Monitorのヘッドラインを借りれば“controversial bid for 'Sunshine”である。「太陽政策」は≪抱容政策≫とも呼ばれ、言えば、soft powerあるいはsmart powerに基づく外交スタンスだが、Kim Dae-jungの訪朝以後、北朝は核実験やミサイル発射など強硬路線に転じた。この点につき、同氏は北朝を甘く見ていたとの批判も根強く、韓国内の保守対進歩の溝や地域対立は解消されない。

最晩年、自らを振り返り「行動する良心」を遺訓としたKim Dae-jungが稀有の政治家であったことは誰もが認めるべきだろう。が、融和の理念はそう容易く現実化しない。
海の向こうのPresident Obamaとて同じだ。国内政策の最大の目玉の1つHealth Careを巡る法案も難航し米国世論は鋭く対立している。一方、Bush's WarのIraqから手を引き、アフガンのタリバン掃討と治安の安定化、復興のために増派部隊を派遣し軍事作戦を展開しているものの、治安は最悪の状況にある。Barack ObamaはEx-President Bushのように“War Against Terror”などという表現は避けているが、実質は「対テロ戦争」と変わらない。

2000年6月、南北首脳会談のためピョンヤンを訪れたKim Dae-jung氏は「半世紀の間に積もった恨(ハン)は直ぐには解くことはできない」と語っている。タリバン掃討の軍事展開は出口無しだ。
敵対関係が長く続くと“恨”(ハン)につながる。首脳会談などという冗談はさておき、高官レベルの協議・交渉が必要ではなかろうか。
国内に目を移すと、マニフェストとやらを振りかざしいわゆる二大政党の党首が対立・対決姿勢をあらわにしている。

4〜5年前になるが、N紙の某論説委員Iさんに≪ジャーナリストの目から見た高校生の進路観≫なるテーマで、若者のなかに増えるニート問題を論じてもらったことがある。本日の同論説委員のN紙コラム記事が目を惹いた。
「・・18日に公示された衆院選では本格的な政策論争を行って、非正規雇用問題の抜本的見直し策を有権者に問うべきだ。・・・不安定な非正規雇用労働者の処遇改善を最優先に考え、『対立より合意』を目ざす努力を政治に望みたい」
最近の世論調査によれば、今度の総選挙の争点は≪政策より政権(交代)≫だとする有権者が最も多いらしい。これじゃシラケ選挙だ。メディアの報道というより、誤報とまではいかないが、“報導”の影響少なからずというべし。