“情けはひとのためにはならず”だって?--TVのナレーションやリポーターの日本語にご注意!

江國滋さんが“ことばのくずかご”と題して「日本語に八ツ当り」している。
「日本の経済援助でエジプトに多目的ホールが完成して、こけらおとしに歌舞伎が上演されたというニュースのナレーション。
『中東初めての歌舞伎公演とあって、カイロの人たちにわかってもらえるかどうかという杞憂は、絶賛の拍手によって、ありませんでした』」それを言うなら「・・・わかってもらえるかどうか心配でしたが、絶賛の拍手によって、(それも)杞憂におわりました」だろう。
あと一席----
「渋谷あたりの路上で、若い女性レポーターが通行人にマイクを向けて、次々に同じ質問を口にしていた。
『“情けは人のためにはならず”ということわざがあるんですけど、どういう意味か知ってますか?』

何度もそう言っている。通行人の多くが、親切にすることはその人のためにならない、と答えていたが、そりゃそうだ、『人のためにはならなず』といわれたら、そう答えるっきゃない。
画面がスタジオに戻って、人に親切をほどこせばいつかは自分に返ってくる、という正しい答えを司会者が口にしたとたんに、アシスタントやレポーターらしい二、三人の男女が、『えーッ』と心底びっくりしたような声を出して、口ぐちに『へえー、1つ勉強した』としきりに感心していたのには、こっちがびっくりした」
ボクもビックリ。それを言うなら“情けは人のためならず”(=情けは人の為ならず巡り巡って己が為)だろう。
江國さんならずとも≪八つ当たり≫したくもなる。