「宴のあと」の競技者や僕らの心模様

五輪後の中国は「安定成長」と「平和外交」を基軸に動き出すだろう。これは単なるスローガンではなく国際社会共通の躍進する中国への願いであり期待だ。
四川大震災の被災地はどうなるのか。五輪で脚光を浴びた選手も心を痛めている。男子陸上100,200を驚異の世界新で制したジャマイカのボルト選手が被災地を見舞った。「被災地の人々が五輪を楽しみ、前に進んでくれることを祈ります」と励まし、5万ドル(約550万円)の義援金を送った。
五輪は四年後ロンドンに移る。いま英国では10代から20代前半の若者にナイフによる殺傷事件(knife crime)が多発している。ロンドン警察も「若者による犯罪が悪質化、低年齢化している」と深く懸念しているが、どこかの国と似ていないか。英国政府は六月、ナイフ犯罪の撲滅キャンペーンに乗り出した。サッカー界のスーパースター、ベッカム選手などもキャンペーンに積極参加。友人の兄弟がナイフで刺され負傷した経験を持つベッカム選手は「誰も悲惨な事件は見たくない」とナイフ犯罪の根絶を訴えている。
五輪が終わりわが国では、日本人選手の勝敗の結果をめぐるミクロなコメントで持ちきりだ。それもやむを得ないが、五輪の大きな狙いの一つは何だろう。参加選手たちが、そして観衆やTV観戦した僕たちが、国境や人種の壁を意識しない国際人として成長するするところにある。
卓球の福原選手の言葉が印象に残る「試合の後、握手することで何か心に通じ合う気持ちになれる」