余りにも人工的な五輪の街のぎこちなさ

昨年まで何回となく北京を訪れたボクにとっては、今までのオリンピックより今日開幕される北京五輪は大いに気になる。
五輪前夜というべきこの1年、中国は次々とunexpected incidents & affairsに遭遇した。中国食品への不安と不信、ラサ暴動を契機としたチベット人への鎮圧、四川大地震への対応、そして大気汚染問題となど、いずれもそのなかに当局の人権軽視・抑圧の施策が見え隠れする。そのため、国際社会の中国バッシングは絶えない。こうしたなか、北京は人口力と躍進する経済・技術力を総動員して五輪開催にこぎつけた。
「鳥の巣」は斬新奇抜だ。メインストリートの交通規制、観光客や街行く市民への監視体制は厳重を極める。
いま、無事五輪成功を唯一最大の国策とする中国にあって、通常の外交はストップ状態にあるのではないか。北京にいま平常心と自然体は期待できない。北京の国連関係者がふと漏らしたという。
「開催時期がちょっと早かったかな。自国の弱さを外から指摘されても、もっと平常心で対応したいものだ。もう少し自信を持ってから、次か次の次に開催した方がよかったかもしれない」(8日朝刊A紙本社F主筆のコメンタリーより)
ともあれ、時期尚早といわれようが、北京五輪はスタートした。取り壊しが懸念された北京中心街の胡同も外国人客の観光地として大人気のようだ。装いが変わった。でこぼこした土の路地に劣化したレンガの壁が立ち並んでいたものだが、路面はコンクリートで固められ、壁は補修され灰色に統一されてしまったという。昔の面影が消えつつある、“新胡同”を欧米の観光客を乗せた三輪車が列をなして通ってゆく。
気になるのはお天気だろう。人工雨を降らせ、大気汚染を吹き飛ばしたいところだろうが、やはりお天気だけは≪神頼み≫だ。
昨夜の男子サッカー予選。日本チームのぎこちなさが目立った。
中国式国際化の五輪は、北京の街と人々を余りにも人工的で不自然なムードつつみ、ピリピリとそしてぎこちなくイベントが始まる。