どこまで堕ちる? -- Presidential Campaign 2016

米大統領選まで1ヶ月を切ったがいつものワクワク感はない。劣化極まるPresidential Race。異例だ。
はや16年前になるが、20世紀最後の年、2000年のW. Bush とAl Goreの激戦はFlorida州の投票用紙の再集計により僅差でBushに軍配が上がった。Al Goreは温室効果ガス/気候変動問題を告発した" An Inconvenient Truth"でNobel Peace Awardを受賞。一方のBushは21世紀初頭9/11Terror Attackにぶつかる。War against Terror(対テロ戦争)を宣し、アフガンのタリバン掃討〜イラクフセイン征伐にのめり込んだ。当初9割を超える異常な支持率を記録したPtesident Bushは、テロとの戦いの出口が見えない2期目後半になり、支持率は2割以下に急落、2008年Lame Duck化するなかで任期切れが近づく。
米国と世界は新たなリーダーの登場を希求する。その期待は、8年間のGOP政権のもと泥沼化する中東情勢とリーマンショック/経済不況に疲弊する多くの米国人の新リーダーの待望となってあらわれた。
いち早く名乗り出たのがHillary Clinton。ファースト・レディとしてWhite HouseでBill Clintonを補佐、政治家としての資質は夫より優れているとまで評され、同女史が民主党President candidateの本命だとするのが大方の見方だった。
米国初の女性大統領の椅子獲得へ絶対の自信をのぞかせるHillaryの前に立ちはだかったのがBarack Obamaだ。イリノイ州選出上院議員1期目の47歳の黒人政治家に変化を求める国民が共感した。予備選前哨戦の1/4アイオワ州党員集会でObamaがHillary女史を5%の僅差で退けた。4日後のNew Hampshareの予備選ではHillaryが競り勝ったものの、その後Obama旋風が吹き荒れる。
大統領選では候補者のCampaign Sloganが注目され、選挙戦の動向を左右する。Obamaは人を動かす言語感覚に優れていた。Presidential Race 2008において彼はシンプルに率直に直接的に国民に語りかけた。キーワードはChange(変格)、スローガンはYes, We can。使う語彙はHillaryの方が多彩に聞こえるが、説得調で論理的過ぎ飽きがくる。例えばこうだ---"Everyday Americans need a champion. I want to be a champion"--"Fighting for us"--"Countdown to change"--"Ready for Change" -- 一方、Obamaは常にWeを主語にすえ、単純明快だ--"Change We can Believe in" そして彼の話には希望と夢を抱かせるストーリーがある。あのMartin Luther King Jr.のI have a dream を彷彿させるものがあった。Obamaはラベリング戦略でHillaryを凌いだといえる。勝つための話術を知っていた。例えば--"We are one people; we are one nation; and together, we will begin the next great chapter in America's story with three words that will ring from coast to coast; from sea to shining sea---Yes, We Can.「私たちは一つの国民、私たちは一つの国家、そして一緒になって、アメリカの物語の偉大なる次の章を始めようではありませんか。海岸から海岸へ、海から輝ける海へ、響き渡る三つの言葉を携えて。きっと、私はたちは、できる」
"The choice in this election is not between regions or religions or genders. It's not about rich versus poor; young versus old; and it is not about black versus white. It's about the past versus future." 「この選挙における選択は、地域、宗教、性差によるものではない。富者と貧者でもなく、若者と高齢者でもなく、そして黒人と白人の選択でもない。まさに過去か未来の選択なのです」
話題を終盤をむかえつつあるHillary Clinton vs Donald TrumpのPresidential Campaign 2016に戻す。
両氏とも国民的人気は低い。"Make America Great Again'をCampaign Sloganすえ、Americans First を基に排外主義を掲げるTrumpに既存政治に飽きた米国民の相当数が熱狂的支持に傾いたようだ。
対してHillaryは旧いタイプの政治家と言われるなか、"Stronger Together" をスローガンに。オーソドックスな選挙戦を展開する。
Presidential Raceは7月の全国党大会で幕開けとなったが、4年前と同様、DNC(民主党大会) 2 日目に登壇したミシガン州前知事Jennifer Granholm女史のスピーチが小気味いい。メキシコとの国境に壁を作ろうとするTrumpに真っ向から斬り込む---".....the answer isn't to tear our country down, it's to buiid our country up." "Not build walls that keep the rest of the world OUT, but to keep building the industries and universities that the rest of the world wishes they could get into. Hillary Clinton gets it."--- さらに、筋金入りの民主党員の彼女はTrumpのスローガンMake America Great...を逆手にとって、Hillaryを大統領に!と呼びかける---" As our next president says we're Stronger Together. We're stronger, How? Together! We're going to keep America great, How? Together! And we're going to work our hearts out to elect Hillary Clinton President. How? Together!"
次に国民が注目するのが三回行われる両候補によるディベートだ。第一回目のメディア評価は--
"Clinton jabs put Trump on defense" -- The WSP
"Hillary Clinton and Donald Trump Press Pointed Attacks in Debate --- The NYT
"Trump fell for Clintons trap at first debate" --- HuffPost
両者引き分けないしHillaryやや優勢というところか。