Tokyoは冠雪、Cairoは燃える

昨日朝早く西下した。義兄の叙勲に身内が祝宴をあげた。お料理もお酒も美味しかった。ついでに京都駅前のホテルで一泊と相成ったが、お天気がよろしくない。西から東まで本格的な雪になるとの予報だ。柴のHannahが気になる。“雪やこんこん、霰やこんこん・・・犬は喜び庭かけまわる”と童謡にはあるが、厳寒の日などsecurity blanketの上で縮こまり寝ている姿が目に浮かぶ。

かくして本日早朝ホテルから駅に駆けつけ、7時過ぎの“のぞみ”で急ぎ帰京。10時半頃帰宅した。正解だったようだ。窓外の雪が激しさを増している。今夜から明朝、冠雪間違いなしだ。

お天気の変わり身も速いが、Egypt情勢は急転から騒乱へと発展しそうだ。
BBCが「Mubarakが10日夜(日本時間11日未明)声明を出し大統領辞任を表明する見通し」と報じた。これを受けて本邦A紙の本日朝刊front pageのtop headlineは白抜きで“ムバラク大統領辞任へ”--“軍の後ろ盾を失う”“エジプト民衆デモ貫く”“熱望の成果ついに”などの小見出しが続いている。

が、The NY Timesは“Mubarak Refuses to step down”、The CS Monitor comは“In Egypt's Tahrir Square, celebration grinds to a halt with Mubarak's speech”--Muabarkは辞任を拒否、タハリール広場の祝福の歓喜は突然トップ、怒声に変わった。BBCも我が国のメディアも脳天気、それともMubarakに手玉に取られたのか?
“step down”(即時退陣)を拒否したMubarak。いつもの偽愛国心に彩られた17分間のスピーチは自分をまるで建国の父かの如く持ち上げ、次のように結んでいる。

“Let me say again that I have lived for this nation. I have kept my responsibilities. And Egypt will remain, above all, and above any individuals--Egypt will remain until I deliver and surrender its--it to others. This will be in the land of my living and my death. I will remain a dear land to me. I will not leave it nor depart it until I am buried in the ground. Its people will remain in my heart, and it will remain--its people will remain upright and lifting up their heads.”
なんと6回もremainを繰り返すありさまだ。ヘドが出るような内容だ。「Egyptを手放さない。この国にしがみつき、骨を埋めたい」--要するにEgyptを私物化していたいといワケだ。
Mubarakは“We will not accept or listen to any foreign interventions or dictations ”(外からいかなる介入や指示も受け入れない。耳を貸すつもりはない)と付け加えるのも忘れない男だ。
民衆が騙されるわけがない。“Leave, leave, leave”(出て行け、出て行け、出て行け)と合唱する。“We'll give you a new government”(新政権を提供する)とMubarakが言えば、“...some old, worn-out tactics”(いつもの古臭い策略だ)。“A new government but no change of policy and some people from own party”(新政権なんて政治的変化の期待ゼロだ。自分の身内の人間じゃないか)と吐き捨てる。

広場に集まった10代の若者たちが手をつなぎ“He's going to go. We're not to going to go”(立ち去るのはヤツだ。我々はここから動かない)と声を揃える。“Donkey”(まぬけなヤツだ)と誰かがひと言。

Mubarakの演説を前にNet配信が準備されていた。“Mission accomplished. Thanks to all the brave young Egyptians.”“The crowd in Tahrir Square soon swelled to a half a million.”(使命は完了した。すべての勇気あるエジプトの若者よありがとう。タハリール広場はたちまち50万の民衆に呑み込まれた)
Mubarakに土壇場で裏切られた民衆の怒りは想像を絶する。Egypt最大のデモとゼネストさえ予想され、国は騒乱状態となり、カイロの通りは人民通りとなろう。
ところでPresident Obamaの対応が気になる。Mubarakが事前の予想に反し、即時辞任を拒否したことを受け、「Mubarakの権限委譲は“曖昧”」だとして「政府が真の民主化移行に真剣かどうか、エジプト国民の大多数は依然として確信していない」と指摘、民主的な政権発足に向けた段階的プロセスを明確な言葉で国民に説明するよう呼びかけた。
Obama氏のこの声明も歯切れが悪い。某米国民の次の投書はObama氏にとって耳が痛いはずだ。
“Dear President Obama--
How can you have an orderly transition with a brutal dictator in charge? If you were beaten, terrorized, abused, and demoralized by you parents, would you ask them for an orderly transition from viciousness to virtue? The answer is emphatically NO! This dictator(Mubarak), his assistant Dictator(Sulieman), and his henchman must go now and not to a vacation resort but Hague for crime against humanity.”
「親愛なるオバマ大統領へ
 どうしてお縄を頂戴しなきゃならない残忍な独裁者などに秩序ある政権委譲が期待できるのですか? 仮に貴殿が、鞭打たれ、脅かされ、虐待され、生活を掻き乱されたりする親を持っていたとしたら、そんな親が悪徳から美徳へと秩序をもって変化しうると考えられますか? 答えは断じてノーです! 独裁者Mubarakとその太鼓持ちSulieman、そして取り巻き連中はいますぐ国を出て、保養地に行くのではなく、ハーグの軍事法廷へ出頭することです。罪状は人権侵害。さもなければMussoliniと同じ運命が待っています」

“Obama Tested on Whether to Break with Mubarak”
Obama氏はMubarakを切り捨てられるか? いよいよその力量が試される。