霧の海のなかTahrir Squareのテント村の行く末は・・

今度のEgypt反政府デモの拠点Tahrir Squareがテント村に変わりつある。国民の政治的自由拡大に向けエネルギーを噴出させ、Mubarak政権を激しく揺さぶった数知れぬ民衆たちは置き去りにされていくのか?

国民に厭戦ムードが漂い、交通渋滞が緩和され、企業や商店、銀行などが動き出した。
Vice-President Omar Suleimanが非合法最大野党Muslim Brotherhoodも含め反政府デモの代表と協議を開始。30年に及ぶ非常事態令の撤廃、憲法改正に向けた委員会の設置で合意したと発表した。

Barack Obamaはこれを“progress”(進展)だと歓迎。“orderly transition”(秩序ある政権移行)を望む米国政府にとっはお誂え向きの情勢だが、Mubarakの9月引退を容認、即時退陣を促していた今までの姿勢を大きく後退させた。EU諸国とて同じだ。

Tahrir広場に結集する市民たち到底承服できない。合意内容にMubarakの退陣時期が明記されていないからだ。民衆たちは広場に篭城し、その数も徐々に少なくなり、孤立させられるのか?

Suleiman副大統領は「デモは国民の真摯な運動」だと認めてはいるものの、予断を許さない。Mubarakの国民に対するアメとムチ、延命策の画策に要警戒だ。
加えて頭が痛いのが、同国が改革に向けて前進するとしても、そのリーダーと中心となる勢力がバラバラだ。これもMubarakの独裁と狡猾な手練手管のせいだ。

The NY Timesのコラムニスト、David Brooks氏は“Up until the recent rallies, Egypt has been a place where people have tried to build informal groups like unions and professional organizations, on to see the government move in to stifle or coopt the efforts. The country has some nongovenmental organizations, but far fewer than the global average, and those that exist are restricted and dominated by the government. Journalists have tried to create a place for a free press, but with only moderate success.”(今回の民衆デモが起きるまで、エジプトは労働組合や職業団体のような任意団体を組織しようと試みても、政府によって鎮圧されるか封じ込められるだけの結果をみる国だった。この国には非政府組織がいくつか存在するが、その数は世界平均よりはるかに少ない。ジャーナリストも自由な報道の機会を追求しているが、許されるのは毒にも薬にもならい翼賛的なものだけだ)
“The biggest gap, by far, is political. The government has successfully prevented political parties from forming, with limited exceptions like the Muslim Brotherhood. Party-building is the country's screaming need and should be the top priority for outside assistance. ”(最も断層が見られるのは目下、政治活動だ。政権はムスリム同胞団のような例外を除き、政党の結成を阻止するのに成功してきた。政党の結成こそ国民の悲願であり、各国が支援すべき最優先課題だ)

Tahrir広場へのエジプト民衆100万人の結集は驚嘆すべき光景だった。

The NY Times-Int.Herald Tribuneのコラムニストでジャーナリスト作家Roger Cohenは“A republic called Tahrir”(タハリールという名の共和国)と題して、“It's startling what pride reborn will do. The West must not succumb to Mubarak's fear-mongering”(息を吹き返した国民の誇り。これがもたらすであろう結果は目をみはるものがある。西側諸国はムバラクの恐怖の煽動に屈してはならない)と強調する。