「大人になったら何になろうかしら」−Sophia Loren意気軒昂

先日、「仏女優MoreauとDeneveお久しぶり」の挨拶記事を書いたところ、今度はItalyの大女優Sophia Lorenが来日した。イタリアン・リアリズム全盛時に銀幕を飾り現在76歳。高松宮殿下記念世界文化賞を受賞、高齢どころか堂々たる貫禄には圧倒される。
日本で最も人気を得た作品は≪I Girasoli≫『ひまわり』(1970年)。Marcello Mastroianni共演の反戦映画だ。「日本人は趣味がいい。私も大好きな作品。・・より多くの、特に若い世代に見てもらいたい」と薦める親日家だ。



『ひまわり』もいいが、それより10年前、1960年制作の≪La ciociara≫『ふたりの女』もボクには忘れられない名作だ。野生的派のトップスターJean-Paul-Belmondoが共演。Loren26歳のときの作品だ。
Moreauの『死刑台のエレベーター』と同じく、これらLorenの二本ともニュープリント版でも構わぬから都内のどこかで上映できないものか。


双方とも、イタリアン・ニューシネマの巨匠Vittorio De Sica監督作品だ。デ・シーカー氏は74年に他界している。当時のイタリア映画の三巨匠といえば、De Sica以外に、Michelangelo AntonioniとFederico Felliniがいた。両氏とも鬼籍に入って久しいが、往時の映画ファンにとっては絶えず目を離すことができない存在だった。

来日したLorenは今も輝いている。今後の女優生活について訊かれ、「大人になったら何になろうかと思っているの」と周囲を笑わせる。彼女は役者バカではない。「私にとって、映画が人生の全てではありません。・・・ややもすると忘れがちですが、人生には美しいもがたくさんあるのです」
−−以上、10/29A紙夕刊参照−−

学ぶべき人生観である。
富安風生の数え年で80歳のときの句がある−−
 生きることやうやく楽し老いの春
Loren女史もかかる境地のようだ。