洋の東西Protests(デモ)の嵐−−マッチポンプと有理

中国各地に拡大する反日デモ。ネットを使って“お知らせ”まで出る有様だ。
官製デモの臭いフンプン、「気持は理解する」と気取っていた外務省当局だが、情勢はやぶ蛇。このままだと矛先が尖閣反日から、自分の喉もとに向かってくる気配だ。相変わらずお祭りムードの風景も見られるが、一部暴徒化している。地方の学生や人民のあの喚きと怒りの形相の深層にはRising Chinaの抱えるhaves(持つ者)とhaves-not(持たざる者)の恐るべきFault Line(断層)が存在するからだ。


遂に中国当局は各地で厳戒態勢をひき、デモの封じ込めを図らざるを得なくなった。言うところのマッチポンプだ。
当局は否定しているがrare earthの輸出規制の相手国が日本だけではなく、世界各国に広がり、国際的批難を浴びつつある点も見逃せない。

中国が資源独り占めの感があるこのrare earthだが、米紙The CS Monitor最新版に“Rare earth metals will be in Vietnam by the Japanese”のHeadline。南シナ海域の領有権問題でも強硬路線に走る中国に脅かされている国の1つVietnamでもrare earth metalsが発掘できるという。皮肉なことに、我が国など主要輸入国にとっては吉報だ。

中国の隣国チベットでも学生が抗議のデモ。AP通信にLanguage protests spread among Tibetansの見出し。
“Demonstrations have spread among Tibetan students angered by reports that Beijing plans to make Chinese the only language of instructions in schools.”(北京当局が学校の授業で中国語のみの使用を強制するという政策を企図していることを知り、中国西部青海省チベット自治区の生徒たちが抗議デモを展開している)と伝えられる。

中国はどこまで傲慢になるのか。どれも有理と言える施策じゃない。
ItalyのNaples近郊でも住民の激しいデモが発生、警官隊と衝突している。公園にごみ処理場を設置しようとする行政当局に市民が激怒し、ゴミ回収ダンプ・カーに火をつける始末だ。


オーストリアでも学生デモが再燃。教育予算を削減しようとする政府の政策に教職員と学生が反対を強めている。
EU圏の抗議デモの最たるものは仏政府による「年金改革法案」に対する世代を超えたデモの嵐だ。
折りしも仏上院がこの法案を承認してしまったからなおのこと始末が悪い。

Reuters通信は“The French Senate approved an unpopular pension reform on Friday in a victory for President Nicolas Sarkozy, although unions opposed to raising the retirement age have vowed to keep fighting it ”と伝える。
勤労者の退職年齢を引き上げようとする法案。定年退職年齢、年金が満額支給される年齢を遅らせようとするpension reform bill「改革」案。労働者が反対するのは当然だが、そこへ何故学生が共闘するのか・・?
この「改革案」の正体を学生は見破った。高齢者の退職年齢が延ばされると、それだけ、若者の就職が困難になる。将来、負担も重くなる一方だ。政府の魂胆は見え透いている。ならば、労働者とともに立ち上がろうというわけで学生たちがデモの先頭にたって行進している。

≪就活の 孫と一揆だ 世直しだ≫。意気のいい粋な川柳。世情諷刺にピタリとくる。
18世紀末の仏革命時代の某文学者曰く−−「さまざまな思想のうち、よりよい社会をつくろうとする人類の進歩の思想だけが、世代と世代の間の通い合いを打ち立てる」。仏の抗議デモはまさに有理だ。
我が国はどうだろう。
“In Japan, Dreams Remain Deflated”(夢しぼむニッポン)
“A once vital Asian nation goes from proud to pessimistic”
(アジア一の活力ある国も昔話。誇りが憂色へと移り行く)

立ち上がらない、立ち向かわない我が国の若者こそ何処へ向かうのか。