Target Fieldに乾杯!

閑談ではすまされないが、まずこのところ気になる日中関係について−−


尖閣諸島の領有権をめぐり日中両国は一歩も引かぬ気配だ。中国の漁船がこの海域を航行。日本の巡視船に体当たりしたという“証拠”によって漁船の船長を拿捕し、取調べ中の日本に対し中国が激しい抗議を繰り広げている。いささか異様だが、政府当局が人民に弱腰と見られたくない政治的な思惑があるのか、政府間レベルだけでなく民間交流も一時停止する有様だ。
さらに、NYで温家宝首相が「船長の無条件即時釈放を要求」し「さもなければ新たな対抗措置に出る」と拳を上げるから穏やかじゃない。

遂にThe NY Times最新号もGlobal Business欄で“Amid Tension, China Blocks Rare Earth Exports to Japan”(情勢緊迫、中国レア・アース日本へ禁輸措置)の大見出し。rare earth(希土酸化物)はハイブリッド車の製造に欠かせないものだ。中国が日本に対し経済制裁に出たわけだ。ハイレベル協議も中国側は拒否。同じくNY入りし温家宝氏滞在のホテル近くに宿泊の我が国PM Kanは「冷静に対処すべき」と常套コメントし、すまし顔だが大丈夫かな・・?

本編に移ろう。
今日一番のトピックスは“Twins 1st to clinch title”。MLB、AL14球団, NL16球団=計30球団のトップを切って、Minnesota TwinsがAL中部地区を制し、プレーオフに進出したことだ。MLBの年間試合数は162試合。残り11試合を余し、昨日Cleveland Indiansを破り91勝61敗。二位のChicago White Soxに12ゲームの差をつけ最後は独走でゴールインと相成った。

The Twinsは日本人にほとんど馴染みのないMLB球団の1つだろう。これまで所属していた日本人プレーヤーはゼロ。そのせいで、BS1などでも試合がTV中継や録画放映されることは極めて稀だ。昨夜のMLBのダイジェスト版のなかでも辛うじて地区優勝に沸く、同球団選手のシャンパーン・シャワーの情景を数秒流すだけだ。
The Twins球団の歴史は波乱に満ちている。前身はWashington Senators。1901年創立の弱小球団だったが、1960年Minnesota州のThe twin cityに本拠地を移した。Washingtonにも球団を残してくれとの地元の声に押されて61年〜71年まで同球団名のまま居残っていたがそのうちTexasのAustinに移転し、今のTexas Rangersに姿を変えたというから数奇な運命だ。

さて当のThe Twinsだが、1982年新球場Metrodomeを新設し再出発した。人工芝のドーム型球場の草分け。この球場を原型にして出来上がったのが今の東京ドームだというからGiantsとは縁深いというべし。
ボク自身、こけら落とし間もない1982年の夏、MetrodomeでThe Twins vs Angelsを観戦した。球場は空席が目立ち、The Twinsは逆転負け。一緒に観戦した現地の友人は「MLBで最も弱いチームなんだ」と首をすくめていたが、以来ボクはThe Twinsの熱烈なファンとなった。別に判官びいきでもない。その後80年代後半から90年代にかけてTom Kelly監督のもと二度The World Championになっているほどだ。が、90年代に入り、低迷が続き、慢性的に観客入りの少ない球団としてリストラ候補の対象なった。が、地元The Twin Cityには熱烈なファンが多い。球団存続の市民の声に押されて、近年ALのCentral Division(中部地区)を制する有力球団、常勝球団へと力をつけた。昨年もThe White Soxとの最後の一戦で勝利し、同地区のチャンピオンとなったものの、間をおかずに行なわれたALのプレー・オフでNY Yankeesに3連敗してオシマイとなった。レギュラーシーズン死闘の疲れのせいだろう。


でも今年は違う。待ちに待った新球場Target Fieldもオープンした。観客収容席約40,000。自然芝のopen-air ball parkだ。どの試合もほぼ満席。これじゃ選手も気合が入らないわけがない。サイ・ヤング賞の左腕のエース、サンタナはNY Metsに、名手スター選手T. HunterもLA Angelesに移ってしまった。年俸のせいだろう。ところが、生え抜きの新人が後を追うように次々と力をつけ頭角を現し活躍するのがThe Twinsだ。その最たる選手は去年のMVPに選ばれたJoe Maure捕手。いまじゃイチローを脅かす打率四割を狙える天才的打者。スター選手だが実に温厚で謙虚なところに魅力がある。

負傷や疾病で今季出場困難な有力選手もいる。All Starsにも選ばれたクローザーのJoe Nathan,スラッガー一塁手Justin Morneau。来季まで待つしかないが、今年White Soxからやって来たJim Thomeの活躍には目をみはるものがある。今年で40歳だが現在ホーマー25本、通算589本と威勢がいい。


見のがせないのはRon Gardenhire監督の手腕だろう。祝勝会で頭からシャーパーンを浴びせられて“Cold! Cold!”と喜んでいた。

センターのDenard Spanが“I think hopefully this will give us an opportunity to think about the postseason and get ourselves mentally and physically ready”
早く地区優勝したおかげで、ブレー・オフ、ポスト・シーズンのことを考え、心身の準備にあてる時間的余裕があると思う。彼はまさにThe Twins関係者共通の気持を代弁するものだ。AL東地区のNYとTampa Bayはまだ最後の死闘を演じている。

去年、一昨年の二の舞にならぬよう、今年こそPostseasonにも目にもの見せてもらいたいMinnesotaだ。
実は今から気になる大きな問題がある。FA権を取得した年のJoe Maureに対する他球団の獲得合戦だ。史上最強の捕手と言われるJoe Mauerは生粋のミネソタ人だ。引き止める魅力・財力がThe Twinsにあるかだ。