名作が名優を生む

衛星Ⅲで三夜連続してThe Godfather三部作が放映されている。
米作家Mario Puzoが1962年に発表した小説を原作とした作品が公開されたのが72年。PartⅠである。
godfatherとは本来カトリックの洗礼時の代父(名付け親)、後見人が原義だが、当映画“The Godfather”はマフィアのボスまたはファミリーのトップに対する敬称の意味である。
PartⅡが74年、PartⅢが90年に制作された。いずれもF.F.コッポラ(Francis Ford Coppola)監督作品である。The Godfatherは単なる組織犯罪やギャングの物語ではない。家族の愛憎とファミリーを守ろうとする男達の姿がメインテーマとなっている。


注目すべきはPartⅠの主演者Marlon Brandoだろう。赤狩りに与したことで知られているエリア・カザンから「エデンの東」の主役の依頼を受けたが断った。
The GodfatherⅠは原作を凌ぐ不朽の名画として73年、M.Brandoはアカデミー主演男優賞を選ばれたが受賞を拒否した。

台詞を覚えてこない、女性問題がつきまとうなどいつもトラベルメーカーだったBrandoだが、公民権運動や非白人差別に対する一貫したレジスタンス精神はは確固たるものがあり、戦後を代表する名優として、F.Coppolaを名監督の地位に押し上げ、その後、ロバート・デ・ニーロポール・ニューマンアル・パチーノなどに大きな影響を与えている。
因みにPartⅡにデ・ニーロが出演。名作The Untouchableのデ・ニーロ名演に引き継がれていると言えよう。

PartⅡもアカデミー作品賞を得、評価は高かったが、残念なのはPartⅢである。Sophia Coppolaの演技が余りにもお粗末。ゴールデンラズルべりー賞の最低助演女優賞を授与されるなど、扱ったテーマも含め作品評価は低落した。
F.F.Coppola監督は知る人ぞ知る黒澤明監督の信奉者である。The Godfatherにも黒澤監督作品『悪いや奴ほどよく眠る』の手法を取り入れている。
余談だが、90年代後半≪Part鄽≫製作の噂が流れ、一時期Coppola監督がレオナルド・デカプリオ起用に意欲的だったといわれるが、原作者Mario Puzoが99年他界したためお流れになったという。さすがのCoppola監督にしてもThe GodfatherはM.Puzoとの脚本の協同づくりなくして続編製作はあり得なかったようだ。

哀愁を誘うBGM『愛のテーマ』は今も生きている。