冬至雑感

今日12月22日は冬至。英語でthe winter solstice。solsticeとは「至点・極点」のこと。つまり北半球では日照時間の最短日、冬気極まり、「日短きこと至(きわま)れり」となる。

柚子湯に入って体を温め、無病息災を祈るこの日、冬至を湯治にかけている。柚子はどうかというと融通が利くようにとの願いとか・・

90年前の冬至、1919年12月22日に芥川龍之介が田端の自宅から本郷湯島天神に住む滝井孝作あてに便りを送り、そのなかに『こんな句はどうだい』と発句六首をしたためている。例えば----
 風落ちて枯藪高し冬日
  人絶えし昼や土橋の草枯るる
  雲遅し枯木の宿の照り曇り
  竜胆や風落ち来る空探し
  冬空や高きに払き(はたき)かくる音
そして芥川は、『はがきで点をつけてくれないか。一時間ばかりに六つ作ったらくだびれた。頓首』と結んでいる。
同じ年の1919年11月23日、牛込に住む佐々木茂策あての手紙の中で芥川は、『子規は36で死んでいる。僕などは余程しっかりせぬとあの年では碌な事一つせずに了りそうだ』と記している。
子規は1902年9月19日病死した。享年36歳。
子規の早世に思いを馳せた芥川は当時27歳だった。八年後の1927年7月24日自死している。35歳。老成というべきか夭折というべきか。「30歳にして人生は明るくなかった」「・・は一行ののボードレールにも及ばない」と苦悶した芥川である。子規の後を追ったわけでもあるまいが・・。

明日から日照時間が少しずつ長くなる。今日より日差しが温かくなるという予報だ。
余談だが、今朝8時、President Barack Obamaより“Where we stand”(我らの到達点)なる件名でemailが届いた。
After a nearly century-long struggle, we are now on the cusp of making health insurance reform a reality in the United States of America.
「約半世紀に及ぶ闘いを経て、我がアメリカ合衆国は今まさに医療健康保険改革を現実のものとする頂に到達しつつある」
These are not small changes. These are big changes. They're fundamental reform. They will save money. They will save lives.
「これは小さな変革ではない。大変革だ。抜本的改革だ。経費の節約になり、生命を救うことにもなる」
そしてAnd your passion, your work, your organizing helped all this possible.(これを可能にしたのは皆さんの情熱と努力と結束のお蔭だ)と感謝し、Now it's time to finish the job(今こそ最後の事業を仕上げる時だ)と締め括っている。


作業の仕上げは上下両院での法案調整だ。最終承認され成立するであろうreform bill(改革法案)は多少の不満と不十分さを残ることは否めないが、COP15ほど先の見えない不安定なものではない。Barack Obamaの目玉に1つ星印がつくよう願うばかりだ。