貧困層とPoverty Line(貧困ライン)を曖昧にするな

経済格差の拡大、貧困問題が深刻化するなかで、これまでの我が政府は貧困の実態を正確に把握するための、Poverty Rate(貧困率)の数値を出さなかった。呆れた怠慢ぶりだが、このほどようやくOECD(経済協力開発機構)が加盟国について算出している「相対的貧困率」を明らかにした。
相対的貧困率」とは“年収が全国民の年収の中央値の半分に満たない国民の割合のこと。ややこしい測定値だが、2006年の場合、日本のこの貧困率は15.7%、年間所得114万円以下が該当。メキシコ、トルコ、米国についで4番目に高く、先進国で最悪水準のグループにある。
ボクはかねてから米国が示すPoverty Line(貧困ライン)に注目してきたが、それ以上にリアルな数値をDepartment of Health Human Services(HHS)が公表。
米国の(ハワイ州アラスカ州を除く)隣接する48州とD.Cの「The 2009 Poverty Guidelines」について1人家族から8人家族までの年収を発表した。

それによると1人家族で約100万円、4人家族220万円、8人家族の場合370万円が貧困ラインの境界線となっている。
因みにハワイ州は1人で120万、4人で250万、8人の場合420万と比較的豊かなようだ。

さらに世界の貧困の拡大は目を覆うばかりだ。世界銀行の報告によれば2005年、世界で14億人がPoverty Line以下の生活に喘いでいる。貧困ラインは一日の所得1.25米ドル(約125円)。
その25%が発展途上国の国民であり、そのうち4億3千万人がextreme poverty(極貧)にあるという。

世界銀行は2015年、この極貧層は10億人を下らない数値に達すると警告する。
日本や先進国の昨今の雇用不安、経済格差の拡大などと比較にならない惨状である。