「行動する良心たれ」とは・・

このほど他界し国民葬が行われた韓国金大中氏を“先生”と敬称するK教授の「歴史と勝負した指導者」が月刊誌『世界』最新号に掲載されている。
K教授は述べている。
「・・先生は、デモーニシュな権力を飼い慣らすことがで出来るほどの老獪な政治家だった。しかし、この老獪さは、政治的な初心、その原則的な立場を支える火柱のような燃える情熱によって支えられていた。それは、国民と歴史の審判に頭を垂れる良心の炎といってもいいかもしれない。『行動する良心たれ』。この遺言を残されたのも、それが政治家・金大中を支える核そのそものだったからである。
 ここに政治家・金大中の偉大さがある。政治家である限り、毀誉褒貶は尽きないだろう。しかし、これほどまでに良心に忠実に歴史と勝負しようとした最高権力者をわたしは知らない」

そのうえでk教授は、金大中先生の言葉を次のように伝える。
『kさん、わたしが最も恐れるのは、歴史の審判です。目の前の利益や保身ではなく、国民と歴史の審判が最も怖いのです。だから、わたしは歴史と勝負しようとずっと心掛けてきました』
『Kさん、われわれは民主主義を血であながって獲得したんです。民主主義は水道の蛇口をひねれば出でくる水ではないんです』

そして、K教授はこのように結ぶ。「米国も、北朝鮮も、そしていずれは日本も、金大中という『和解の政治家』が示した道を歩んでいくしか道はないはずです」
金大中氏に対して歴史はいかなる審判を下すか。俄かには断定できないが、稀有な国家指導者であり、国際的政治家だったことは確かだ。いま我が国に“行動する良心”を持ち、歴史に立ち向かう本物の政治家がはたしているだろうか?