奥深い珈琲事情

このあいだ鎌倉で珍しくカプチーノというモノを飲んだが、元来ボクはコーヒーは何故か敬遠してミルク・ティの方を好む。
が、6月に一泊したVeneziaでどえらい珈琲店に出くわした。Piazza San Marco(サン・マルコ広場)に華麗な佇まいをなすThe Caffe Florian。ヨーロッパで最初の珈琲店である。


ロリアンは1720年12月創業の世界最古のカフェとして知られ、19世紀になると数々の著名な芸術家の憩いと談義の場となった。その中にはC.Dickens, Lord ByronそしてM.Proustなどが含まれている。このCaffeは遺跡ではない。現在も営業中、観光客に大人気だが、コーヒー一杯2,790円。恐れ多くて入れない。



かくして、珈琲の元祖Italyは店の旦那もタダ者ではない。“コーヒー豆”を注文すると「グリーンピースのコーヒーかね!」と笑われる。イタリア語では“豆”はダメ。chicchi di caffe「コーヒーの種」が正しい。英米人も日本人も「コーヒー豆」。珈琲に関してはItalyの文化度の足元にも及ばない。
ところで、コーヒーの木はエチオピア原産だということを知った。(Arthur Binard:Everyday Emergency Exits参考)
今日午後スーパーに出かけたついでに、“コーヒー豆”ならぬ“コーヒー種”のコーナーを覗いてビックリ。ほとんどの製品の袋の裏に記されている産地はブラジル、ジャマイカ、あるいはスリランカなど。ルーツのエチオピアの名がない。
≪お客様へのお知らせ≫の張り紙が目に留まった。

エチオピア産のコーヒーが目下入荷できないとのこと。
政情不安にあるのか?
夕刻、西空をのぞむとイワシ雲か飛行機雲が走る。


The Caffe Florianの客人の1人Lord Byron卿(ロマン派の詩人バイロン)は曰く。
“'T is strange,---but true; for Truth is always
starange---
Stranger than fiction:.....”(Don Juanより)
『現実は、いつでも作り話以上に奇妙なものだ』