ひばり飛び去り20年、名作詞家逝く-“悲しい・・””哀愁・・”

石本美由起さんが逝った。近年、あの訥々とした情味溢れる語り口が聞かれなくなり、案じていたが・・。85歳だった。
美空ひばりが早世した89年、酷暑の7月、ボクは海外に滞在していたが、青山斎場での告別式の模様をビデオ録画しておいた。そのなかでで、石本さんは作詞家を代表して弔辞を述べた。眼鏡の奥に涙が浮かぶ。その弔辞は、何度も「有難うひばりさん」と語りかける感謝の詞(ことば)だった。“ひばり”&“石本”コンビと言えば『悲しい酒』。66年大ヒットした当初、ひばりがNHK紅白のトリでさらりと妙唱。が、このとき、1番と2番の間にセリフはなかった。間奏曲が長い。後になって、ひばり自身が語りのインサートを石本さんに依頼、同氏の手で即座に作られたという。

「哀愁波止場」もいい。石本&船村コンビの名曲だ。
ひばりが飛び去って20年。ひばりのあとにひばり無し。石本さんのひばり追想の言葉も聞くことができない。今宵は横浜の“哀愁波止場”に“悲しい酒”が似合いそうだ。