距離感を感じさせない語りかけられる言葉と注がれる目

Barack Obamaの話術には舌を巻くが、多くの聴衆への語り方、その手法はじっくり研究する価値がある。

Obamaの大統領選勝利を見越して?昨年10月出版された「オバマ『勝つ話術、勝てる駆け引き』(講談社)の分析によれば---
オバマの手法のなかでも採り入れることをお勧めしたいのが、聴衆との壁を取り払うことです。その際は、≪あなた方と私≫ではなく、まさに≪私たち≫というフレーズを発するだけでなく、私たちで一緒に考えたいというスタンスを明確にすることで、あなた方と私は同じですというメッセージを伝えているのです。
物理的に演台を置かないことも、効果的な方法です。演台というまさに壁の向こう側から語りかけられるのでは、壁の向こうとこちらという感覚が無意識に生まれてしまい一体感が持ちづらいのです。
 そして、その一体感をもって語りかけるには、相手の目を見て話すことです。しかし、多数の聴衆がいた場合には、一人ひとりとアイコンタクトを交わすのは、現実的でありません。そこで取り入れたのが、会場の聴衆が座っている四隅を順に見ることです。これによって自然と会場全体に目が行き渡り、全員に向かって語りかけている状況を作り上げることができるのです。一対多の状況でありながら、あたかも一対一で訴えかけているような感覚を作り出すのです。オバマの視線が常に観衆に向けられ、下をほとんど見ないのはそのためでもあるのです』

1月20日の28分間の大統領就任演説でも全く下を見ることなく、200万人に及ぶ観衆に、抑揚と緩急に変化をつけ、さりげない身振り手振りで語りかけ呼びかけ訴えた。
このスキルにはHearts and Mindsが渾然一体となっている。