(続)いつまでも向き合わなければならない言葉

加藤周一氏著【常識と非常識】(かもがわ出版)を再読。
その≪前口上≫が胸に突き刺さる。
シャンソン歌手の石井好子さんが語っていた。地雷で片足を失ったカンボジアの少年が『希望は』と聞かれ、『もう一本の足を失わないこと』と答え、石井さんは胸を突かれたというくだりがあった。私も衝撃を受けて、しばらく先を読めなかった。
戦争は犠牲者に男女老若を選ばない。自業自得の大人はともかく、何の責任もない子供たちの未来と可能性を、戦争は有無を言わせず根絶やしにする。・・・」

そして、≪語り残したこと≫--“「読む」ことについての私的感想”

      • ≪何を読むか≫に啓発される。

「職業的必要や試験準備などの条件がなければ、何を読むかはその人の自由な選択です。選択には基準が必要です。私の基準は時と場合によってちがうけれど、そこにはおよそ一貫した傾向もありました。第一に薄い本がよろし。人生は短く、読みたい本は多いからです。第二になるべく安い本。資力に限りがあるからです。第三におもしろい本。これが大事です。おもしろくなければ何の役にもたたず、読んでもすぐに忘れてしまいます。しかし第四に必ずしも『易しい』本をもとめません。努力して困難を乗りこえることがおもしろく、楽しみになることがあるからです。登山家のよろこびは、頂上の見はらしだけではなく、坂道を登る努力そのものにもあるでしょう」