哲学の定義はあるの?

近頃、大学で心理学を学ぶ人が増えている。いまのご時世からみればうなづけるが、哲学となるとどうか。
大学時代ボクは美学が好きだった。美学は別名“芸術哲学”とも呼ばれた。でも、哲学は履修したものの興味を持てなかった。

Maxim Gorky(マクシム・ゴーリキ)は“You can't do without philosophy, since everything has its hidden meaning which we must know”(哲学抜きには何もなすことはできない。なぜなら、あらゆることに我々が知るべき隠れた意味が潜んでいるからだ)と諭すが、これじゃまさに神秘の世界だ。
一方、第一次大戦に従軍したオーストリアの哲学者Ludwig Wittgensteinは“Philosophy is not a theory but an activity.”(哲学は理論ではなく実践だ)と定義づける。こういわれると少しは判るような気がする。
BierceのThe Devil's Dictionaryに言わせれば「どこからともなく始まり、どこへ行き着くということもない、多くの道からなるルート」ということになるが、案外、この曖昧さが哲学の核心を突くものかもしれない。
我が国の若手哲学者Mさんは“哲学には資格不要、考え続けること”だと次のよう述べている。
『哲学者の肩書に、定義はありません。自分とは何か、時間はなぜ流れるのか、生と死の意味は何かといった問題に、徹底して自分の頭で考え続けていくことが出来れば、あなたはもう哲学者です。医師や弁護士になるためには、難しい国家試験に受からなくてはいけませんが、哲学者になるためには何の資格も不要です。極端な話し“私は哲学者である”と宣言しさえすれば、誰でも哲学者になることが出来ます。
哲学の愛すべきところは、世間の価値観からまったく自由になって、ものごとを突き詰めて考えることが出来る点です。・・・』
こう言われると哲学は面白い。が、それだけに職業として成り立ちにくい。