街に名画座が出来ないものか・・・

我が家の近くの“小劇場”とやらで名画の鑑賞会をやるという。
こんなビラが新聞に折り込まれてきた。
「戦国時代の貧しい農村を舞台に、野盗と化した野武士に立ち向かうべく農民に雇われた侍たちの闘いを描いた作品。・・・監督による日本映画の傑作。麦の刈入れが終わる頃、とある農村では野武士たちの来襲を前に恐怖におののいていた。百姓だけで闘っても勝ち目はないが、麦を盗られれば飢え死にしてしまう。百姓たちは野盗から村を守るため侍を雇うことを決断する。やがて、百姓たちは食べるのもままならない浪人たち7人を見つけ出し、彼らとともに野武士に対抗すべく立ち上がる・・・。」

いわずと知れた黒澤作品『七人の侍』の梗概である。1954年制作、3時間半にも及ぶ長尺モノクロだ。壮絶な雨のなか、野武士と死闘を繰り広げた七人の侍の演者はいまや全て故人。今なお健在な役者といえば若い百姓の夫婦役、土屋嘉男氏と津島恵子さんだけだ。侍の頭領、志村喬さんの最後の台詞じゃないが、「勝ったのは今度も百姓たち」なのか・・?
そして6年後の1960年、『七人の侍』をベースにしたハリウッド映画『荒野の七人』(The Magnificent Seven)が封切され、大人気を博した。主役を演じたのはスティーブ・マックイーン、この映画を機に最高のアクションスターとなったものの、1980年、卒然と消えて逝った。享年50歳。惜しまれる早世だ。

昔の名優にも出会え、DVDなどでは味わえないモノクロ・シネマの醍醐味をも鑑賞できるのはやはり銀幕だ。
我が街にもささやかな小劇場、名画座が欲しいものだ。