冷気に包まれる自動車産業の街--環境政策で新たな雇用創出を目ざすPresident-elect Barack Obama

派遣切りの嵐が吹きまくる。特にAuto factoryを基幹産業としている街は内外とも悲惨だ。
Auto Bailout(自動車大手救済法案)が否決された米国。GMの工場が集中するミシガン州の冬の冷気はいつになく厳しい。全米自動車労組も、会社側が迫るリストラ計画を受け入れる意向を示した。緊急事態に対応するためさらなる犠牲はさけられないという。経営破たんの瀬戸際にあるGM本社は、大幅な生産縮小を発表。待ち構えるのは労働者の解雇だ。そうした中、President elect Barack Obamaは温暖化対策を担う次期政権を明らかにし、エネルギー長官にノーベル物理学賞受賞のスティーブン・チュー氏を指名するなど積極的な環境政策に乗り出した。これは新たな雇用政策につながるだろう。
オバマ次期政権は経済刺激の柱に「グリーン・ジョブ」をすえている。省エネ対策や新エネなど環境にやさしい社会、産業基盤への大規模投資を通じて職づくり(雇用創出)を目ざす政策だ。世界大恐慌に直面したF ルーズーベルト大統領の「ニュー・ディール」政策になぞらえて“グリーン・ニュー・ディール”とも呼ばれ、期待されている。

温暖化のための規制を嫌がる、ロビイストや地元産業の利害を抱える上院の抵抗が予想され、実現については楽観視できないが、Obama氏の進取の意気は見習うべきだ。
「知の巨人」加藤周一さんがこの七月、最後のTVインタビューの中で語っている。氏はBarack Obamaが選挙戦中に使ったChange(変革)という言葉に注目していた。
『あれだけ人びとを惹きつけたのは、彼が社会の現実の深いところに触れたからだ』
新たな社会主義を求めようとする≪プラハの春≫を加藤さんが目にしたのが1968年。あれから丁度40年を経たいま、加藤さんは「1968年は今なお死んでいない」という言葉を遺し、Obama次期政権に希望を託して逝ってしまった。世界と我が国の閉塞感を憂いながら・・。