思考力の自立と熱意が欠ける若者が多くないか--求められる自調自考の奨励

米国政界の主流からは無視され異端児扱いされてはいるが、一貫して米国の政策に厳しい批判の目を向けているノーム・チョムスキーの著書には目が離せない。

少し古いが『すばらしきアメリカ帝国』(原題:Imperial Ambitions)を読んでいる。皮肉とユーモアに満ちた独特の≪チョムスキー節≫が面白い。コロラド州デンバーに在住し、独立放送局オールタナティブ・ラジオを立ち上げた反体制プロデューサーDavid Barsamianによるチョムスキーへのインタビュー形式で構成されている。

Barsamianは同著のまえがきの中で、チョムスキーにインタビューするのはどのようなものなのか、次のように語っている。
「『真実を理解して行動方法を心得ることはそれほど複雑なことではない』と主張する人物の面前にいることを意味します。彼は、知識人のあるべき姿を定義し具現化しています。権力に追従したり、自らの責任を回避しながら他人を非難したりする人物には厳しい批判を向けます」
Barsamianが質問する--「若い頃から六十年以上にわたって教師を勤め、何千人もの学生と接してきたなかで、どういった特性が重要だと感じていますか?」
チョムスキーは答える--「思考力の自立、熱意、学問分野への献身、そして異議を唱え、疑問を提起し、新たな方向を探る意欲です。それらを兼ね備えた人間は多いのですが、学校はこうした特質を妨げる傾向があります」
質問は続く--「あなたはこれだけ有名なのですから、学生が恐れるあまり、あなたの主張に対して異議を申し立てたがらないということはありませんか?」
チョムスキー--「時々、そういうことがありますね。たとえば、アジアの国々で伝統的な教育を受けてきた学生については、ときどきそう言えるでしょう。だだ、MITのようなところでは比較的まれです。科学を基盤とする大学として、リサーチを徹底させ、挑戦し、疑う姿勢が奨励されていますから」
小田実氏や加藤周一氏、Noam Chomskyと相通じるところがないか・・。