混迷する「定額給付」−Yes We Canは到底無理

Barack Obama氏の勝利宣言の夜、ChicagoのGrant Parkに集まった12万人を超す人々はPresident-electのObama氏に呼応し、“Yes We Can”(やれば出来る)を連呼した。
このYes We Canは、MLBのWorld Seriesの最終戦でファンがサイン・ボードに掲げるお馴染みのキャッチフレーズだ。
そして、World Championとして頂点にたどり着いたとたん、ファンのボードはYes We Didに変わる。
Obama氏は1/20の大統領就任後、Yes We CanをYes We Didに高められるか? 最初の2年が勝負だが、超難題が余りにも山積している。諸問題の解決は至難のワザだ。

一方、我が国の政権は「定額給付金」とやらで迷走している。この給付金は英語で正しくなんと訳すべきか、それさえもはっきりしない。
それもそのはず、当の首相筋すら名称に迷いがあるからだ。
先般、米国FDRがAIG公的資金を緊急援助した。いわゆるbailoutだ。個人が収めた税金を使って金融筋を救援するものだと、多くの市民の怒りを買った。米国政治はWall Street(金融街)からMain Street(商店街)に眼を注ぐべしとする世論が渦巻いている。
いま渦中の「定額給付」だが、言えば、個人向けbailout。その場しのぎの緊急援助金。焼け石の水の印だけの年度末ボーナスのようなもの。Yes We DidはおろかYes We Canの掛け声さえ、とても出せないシロモノだ。