いま求められるのは「強い司令官より賢明な指導者」

邦人青年が凶弾に斃れた。アフガンでの悲劇、言葉はない。会の事務局長が言葉を絞り出す。「志高い若者が最悪の結果になった」
殉職という言い方はしたくない。崇高な目的も献身的な働きも全く通用しない非情な世界に身を置くリスクは想像を超えたものがある。
彼の国において、そして彼の国の無垢な住民によって敬愛され、慕われている人々といえども武装集団とっては親米派であり敵なのである。アフガニスタンは今もっとも危険な地域である。
なぜこの国にかほどまでの断層をもたらし、荒涼とした戦場に変えてしまったのだろう。いつしか、世界の異境の地、辺境の地に追い詰めてしまったのはなぜか。やはり2001年11月の無差別空爆が招いた修復しがたいツケではなかろうか。
米国の最高司令官はテロとの戦争を高らかに宣言した。ボクたちの多くの者はその中に強い正義のリーダーのイメージを描いた。
以来8年が経過しようとしている。米国民は次期指導者に誰を選び出すか。Denverで開催中の民主党全国大会で副大統領候補に指名された
Joseph R.Biden Jr.は次のように訴えた。
“The choice in this election is clear. These times require more than a good soldier. They require a wise leader”
「来るべき選挙の選択は明確である。今こそ求められるのは優れた軍人よりも、賢明な国の指導者である」
そして「こうしたリーダーこそ、誰もが認め我が国が求める変革をもたらす人物なのだ」とJohn McCainはお呼びじゃないと切り捨て、Barack Obamaの適格性を浮き彫りにさせようとした。
民主党も一枚岩ではない。大統領選は熾烈を極め、Obama民主党が勢いづくとも限らない。
ともあれ、米国現最高司令官の2期8年間の“足跡”の後遺症は根深く、癒すのは容易ではない。