盧溝橋の下を川が流れる−アーカイブスか?

北京五輪の過剰演出の実態が次々と明らかにされる。開会式の映像の序曲はCGを流し、可憐な少女歌手が「口パク」、果ては“中国の56民族を代表して”と紹介されて民族衣装を着て場内行進した子どもたちの多くは漢民族だったという。北京五輪委は「中国ではよくある演出だ」と意に介していない。四川大地震で最も悲惨な目にあった回民族の人たちやあのチベット民族の胸中はいかばかりか。
開会式のパフォーマンスより、ボクにとっての驚きは五輪開催にあたり、盧溝橋の下の永定河を豊富な水が流れたことだ。これまで何度か近くの中国人民抗日戦争博物館を経て、盧溝橋を渡ったことがある。何の変哲もない石橋だが歴史を感じさせる。一昔前にはこの橋の袂に露天商があり、中国奥地で産出された化石まで売っていた。橋の下は干上がっていた。だから、河に下りて仲間と記念写真を撮ったこともある。
いま北京を訪れ、盧溝橋まで足を伸ばす海外からの観光客の目に映るのは、カヌー競技場ではないが、流れる人工の流水だ。往時の盧溝橋はこうだったかもしれない。だとすれば、盧溝橋のアーカイブスか。