アフリカをめぐる列強の思惑、支援と投資

TICADと云う名の聞きなれない会議が横浜で始まった。第4回アフリカ開発会議と呼称されているが、The Tokyo International Conference on African Development(アフリカ開発東京国際会議)が正式名だ。今回で第四回目だが、1993年第一回会議を開催、「冷戦終結による力関係の変化と、欧州諸国の援助疲れが見られるなか、日本がアフリカへの『援助外交』で存在感を示す」(政府関係筋)ことがをもともとの狙いだ。
アフリカ諸国は欧州諸国による長い植民地支配にあった。今なお、貧困や紛争、食糧難、感染症など深刻な問題を抱えている。かかる負の遺産の一方、豊富な天然資源の発掘地、生産地として世界での存在感が俄然強まっている。そこに世界の“列強”が注目しだした。単なる援助の対象ではなく、国益重視の観点からアフリカ諸国と関係強化を進める動きが急だ。
アフリカ53ヶ国から40ヶ国の首脳ががTICADに参加したとわが国首相はご機嫌だが、中国は一昨年、アフリカとの協力フォーラムを開催し48ヶ国の首脳を集めている。インドも今年4月、インド・アフリカ会議を発足、米国はというとアフリカへの米軍の派遣を狙ったが、これは失敗に終わっている。各国の思惑は複雑だ。日本は洞爺湖サミットを視野に入れ、資源の確保と安保常任理事国入りの下地づくりに余念がないが、アフリカ首脳は先進国の姿勢を批判する。「道路などインフラの未整備がアフリカの成長を妨げている」「インフラ整備のための借り入れができない」
世界銀行のぜーリック総裁が「日本や欧州が60年前、戦後復興したのと同じことをアフリカの人たちも望んでいる。新幹線やトヨタの工場は世界銀行が支援してつくった」と指摘。そのうえで、「アフリカの首脳たちも変わった。求めているのは援助だけではなく、投資であり、成長だ」という。世銀総裁や各国首脳たちの意図は、アフリカ諸国の国民間に恐るべき生活格差をさらにもたらさないだろうか。貧困や食糧危機にどのように向き合い、いかに対処しようするのか不可解だ。