Sen. Obamaのヨーロッパ・ツアー--「文明の衝突」の回避に向け米欧の架け橋となるか

米大統領民主党候補Sen. Barack Obamaイラクなど中東諸国を訪問、アフガンを経て、ヨーロッパに足を運んだ。最初の訪問国はドイツ。BerlinはObamaの来訪に熱狂した。演説会場選びが二転三転したほどだ。
ベルリンの壁崩壊後ほぼ20年、いま世界を分断させている≪新たな壁≫がある。それはテロリズムだ。米国・欧州が結束し、テロとの戦いに向かわなければならない。核兵器無き世界、これが我々の新たな目標だ」
Obama氏はスピーチの中で自ら“ヨーロッパと米国の架け橋になる”と宣言した。
集まった聴衆はベルリン警察の発表によれば20,000人。動員された警察官約700人。Sen.Obamaはまだ民主党大統領候補に過ぎない。にもかかわらず、ベルリン市民は75%がObama氏を次期米大統領としてイメージし、彼の“Change the world”のレトリックに酔いしれ、スピーチが終わってもObamaコールが鳴り止まない。ロックスターにアンコールを求める狂騒風景だ。
Obama氏を迎えたメルケル首相(Chancellor Angela Merkel)は冷静だ。この二年、世界一の女性宰相として評価は高い。南部アフガニスタンへの部隊派遣を拒んでいるドイツの首相としてMerkel女史はSen Obamaとどのような会談を行ったか。
外交政策でJohn McCainに遅れを取っているといわれるBarack Obamaイラクへの米駐留軍の撤退方向を打ち出す一方、テロとの戦いの主戦場はアフガンだと、現地への部隊増強を明らかにした。ここにも米独間の隔たりがある。
9.11テロ攻撃の直後、ドイツのシュレーダー首相(当時)は「文明社会全体への宣戦布告だ」と厳しく批判した。米ハーバード大サミュエル・ハンチントン教授(Samuel Huntington)は“『文明の衝突』を防げ”と警告した。
あれから間もなく7年になるが、世界のあちこちで衝突と悲劇が絶えない。むしろ広がりと深まりを見せ、国や地域によっては出口なしの感さえ漂う。今世紀になって声高に叫ばれたグローバル化に、自己破綻の種があると考えるべきだろう。