厳戒の北京五輪のツケは・・

近づく北京五輪。当初、中国当局が世界に発信した千客万来の歓迎ムードが一変した。チベット暴動や四川大震災に端を発した中央への不満や地方での不穏情勢そして見えないテロの恐怖などが、いつの間にか“Beijing Welcomes the World”のスローガンを“Olympics Without Incident”(恙無き安全なオリンピック)に変えてしまった。この影響は思いのほか大きい。
いま世界の玩具の7割以上が中国製だ。欧米のバイヤーにとってこの夏は年末クリスマス商品のかき入れ時だ。子供たちは中国製のサンタのそりを楽しみに待っている。が、4月以来欧米の投資家や商売人はそうたやすく中国に入れない。教員や芸術家、フリージャーナリストなどは半年visaを取得できない。
旅行客やビジネスマンも中国からの招待状、ホテル予約証明、帰りの航空券などが無ければ入国は無理のようだ。
現在中国在中の異邦人も悲惨だ。特に学生がそうだが、現住所の届出義務を課せされ、引越しとアルバイトは禁止されている。
北京五輪委員会は外国人対象の9頁に及ぶルールブックを発行した。“集会やデモ参加の禁止。イベントでの政治・宗教上のスローガンはご法度。中国にとって政治、経済、文化、道徳上の有害物の持ち込み禁止”という具合だ。“有害物”とは何なのかよくわからないが、お蔭で、5月、海外からやってきた投資家は14%減、五輪期間中、ビジネス会議やセミナーはキャンセルに追い込まれ、北京、上海など都市部のホテルは予約率が急落している。
日本でも影響大だ。旅行会社が見込んでいた日本人向け北京五輪チケットは売れ残りが目立ち、頭を抱えている。
かつてない規制づくめの北京五輪。これほどまで“限界を越えた厳戒”、後遺症がなければよいが・・・。