人力車復活!?

沸騰都市インド、ニューデリーの目抜き通りは凄まじい。所狭しと、高級大型車の横を、行商屋、荷馬車、バカでかい乗り合いバスが行き来し、牛が歩いている。その雑踏を縫うように人力車が走る。
ニューデリー当局は、人力車が異常な交通渋滞の元凶だとして、乗り入れ禁止措置をとった。これでは人力車は先細りし絶滅しかねないと、取り締まりのザル法化を狙って、当局への賄賂が横行する始末だ。
ところが、ここへきて人力車への風向きが変わりつつある。ガソリン燃費の高騰と環境問題が大きくクローズアップされてきた。
国際社会が環境問題を取り上げているこんにち、皮肉にも、東南アジア諸国は経済発展に狂奔している。ニューデリーでは大気汚染による子供たちの呼吸器疾患は極めて深刻な問題となっている。
こうした折に人力車は重宝だ。ガソリンは不要、公害に無縁な洒落た乗り物ではないないかという理由で人力車の普及の動きが強まっているとか。ニューデリーには現在60万台の人力車が500万人のお客を運んでいる。庶民の足、人力車は乗り入れ禁止どころか、ひょっとするとニューデリーの交通手段の主役になるかも知れない。
もっとも、ここでいう人力車はbicycle rickshaws(自転車付)である。
明治時代から1960年代まで花街に見られた我が国の人力車とは風情も、用途も異なる。どんなに車の燃費が高騰し、低二酸化炭素化が喫緊の課題であったとしても都心の大通りへの人力車の復活・乗り入れは無理だろう。