気まぐれで異様な米国の気象

ミシシッピー河の大氾濫により、中西部諸州の被害がまだ続いている。3年前深南部を襲ったHurricane Katrinaのときよりも、被害の地域が極地的でなく広大なせいか、連邦や州による罹災者に対する救援が緩慢だという不満が聞こえる。住民たちは「中西部は、黒人やヒスパニックの多いDeep Southじゃないから放置されているのか!」と怒りの声を上げている。
一方、カリフォルニアやネバダでは異常乾燥が続き、ラスベガスでは3日連続40℃以上の熱波に見舞われている。そうかと思えば、隣のロッキー地帯が7月に入り豪雪に見舞われた。モンタナ州では第二次大戦時以来の積雪を記録した。お陰で、Glacier National Park(国立氷河公園)に通じるルートに除雪車が出動、山開きが遅れる始末だ。登山シーズンの遅れは、公園に通じる東部の町とWest Gracier地域にとって痛手となる。ドラバーへのガソリン販売、レストラン経営などロッキーの氷河に通じる32マイルの観光ルートは大きな減収だ。
他方、北部ロッキー地方にとっては恵みの大雪。ここ8年、高温と干ばつに苦しみ、雪は少なく、川は渇水し、山火事が絶えなかったという。「ロッキーに雪が降れば銀行の預金は増える。雪が解ければ9月中、川が増水し、釣にも潅漑にも大助かりだ」とこの地域の住民は大歓迎だ。
気まぐれな気象変動は米国民の利害を対立させ、市民感情に亀裂と断層をもたらすものがある。