“感動の質”とは

名著Silent Spring(沈黙の春)で人間による自然破壊に警告を発したRachel Carson(レーチェル・カーソン)。エッセイにThe Sense of Wonderがある。もう50年以上も前に出された短編だが、著者はその中で『子供の頃や10代に出会う事実のひとつひとつが、やがて知識や知恵を生み出す種子だとしたら、さまざまな情緒や豊かな感受性は、この種子をはぐくむ肥沃な土壌です』と語っている。
海洋生物学者であるレーチェル・カーソンの言わんとするThe Sense・・の趣意をもとに、ボクはこれまで多くの若者や、若者の教育に携わる志をもった人たちにSense of Wonderを自己流に次のように解釈・翻案し、その大切さを訴えてきた。
「何か新しい物に出会うとワクワクする気持ち。何かを発見する喜び。未知なものに素直に感動する気持ち」つまり今流にいえば、“知るを楽しむ”である。
感動に欠けた人、感動が苦手な人、感動に鈍感であったり嫌ったりする人がいるが、寂しくて魅力がない。
でも、感動にも質というものがあるようだ。幸田文氏がさりげなく述べている。『よくわかりませんが、感動に敏感な人と、そうでない人があるようですね。あさましく、むさぼっている人もいれば、品よく適当に味わっている人もいる。感動の質ということになります』
よくわからないけど、質のいい感動とは何かを考えていかなければならないと思っている。