海の向こうの清新な気と内なる昼下がりの酸鼻(惨鼻)

Hillary Clinton上院議員が16ヶ月間に及ぶ熾烈な民主党予備選から遂に撤退した。昨日未明WashingtonのNational Building Museumで、溢れかえる数千名の支持者のなか、28分間の歴史的演説を行った。
冒頭の7分間をこれまでのライバルBarack Obama上院議員への明確な支持を宣言した。その内容は曖昧さや未練がましさはなく、凛とした態度で自らのサポーターにObama氏をthe White Houseに送るべく共に力を合わせるよう訴えかけた。
会場には多くの女性支持者の姿があった。彼女らは拍手を止めなかった。Hillaryのスピーチが“今回の撤退が支持者の皆さんを落胆させることになるとすれば、私の心は痛む”と、Obama氏との長いマッチレースの話に及んだとき、涙を流す女性もいれば、バルコニーの立ち見の人の中からブーイングが聞こえた。
何度も拍手で途切れざるを得なかったスピーチ内容は、たとえ専属のスピーチライターが草稿を作り、それに彼女自身が手を加えて完成したものだとしても、いささか孤独感と悲壮感さえ漂わせる彼女の姿と併せ、感動を呼ぶものであった。
ボクは公職を退いたいま、8年前のGeorge Bush Jrへの皮相的、心情的な支持に対する反省にたち、今度こそDemocratic Partyの政権誕生を念願している者の1人だ。The NY Timesは民主党予備選の早い段階でHillary Clintonへの支持を打ち出した。Clinton女史が撤退し、Obama氏支持を鮮明にした以上、The NY TimesもClinton氏の意志を尊重するだろう。
ボクは昨日早速、Sen. Obamaをサポートする米国のgrassrootグループにエールを送った、最小限のdonationとともに。米大統領選での投票権は持ち合わせていない日本人だが、危機的難問山積のいまの世界の現状にをみるとき、その源流は米国政権にある。日本のメディアや識者の中にはアメリカの民主・共和のどちらが政権を取ろうとも変わり映えはしないと、来るべき米大統領選を冷ややかに見ている人も少なくなかろう。でも、わが国にとっても日本の首相選びよりも重要ではないか。
そんなことを深く考えている昨日日曜日の昼下がり、都心歩行者天国
未曾有の衝撃が走った。これを“酸鼻(惨鼻)の極み”という。