大統領選での常套語-お決まりのキーワードとレトリック

8年前の2000年8月3日、George Bush Jrが共和党全国大会で大統領候補指名受諾演説を行った。場所はPhiladelphia、9/11テロの1年前である。
同じ8月17日、Al Goreが民主党大統領候補の指名を受けた。場所はLA。副大統領候補に予備選を争ったJoseph Liebermanを選んだ。方や、George Bushが指名したVice President候補はDick Cheney。湾岸戦争時の国防長官だ。
これより11月の本選挙までBushとGoreの熾烈なPresidential raceが始まった。1992年大統領選での父親BushとBill Clintonとの遺恨試合の様相を呈した。息子のGeorge Bushが親の敵討ちに燃えることは予想されていた。1990年のThe Gulf Warの評価が対抗軸にならなかったことが民主党には痛手だったと思う。Bush陣営はClinton政権を徹底的に叩いた。いまBalak ObamaがキーワードとしているChangeも、大統領選の常套語だ。当時のBushは、change,reform, renewなどのさほど新味さを感じさせないワードを織り込みながら、“現政権 繁栄にあぐら / 富と貧困間に壁”と題して次のような指名受諾演説を行っている--
「この国には壁がある。片側には富と技術、教育と野心がある。もう一方にあるのは貧困と監獄、中毒と絶望だ。この壁を壊さなくてはならない。それこそ、私が唱えてきた『思いやりのある保守主義』である」
この演説の草稿はスピーチライターによるものだ。
10月の最後のBushとGoreのTVでのdebateはドローに終わったと時の有力紙は報じている。“思いやりある保守主義”は情け容赦ない新保守主義(Neo-Con)へと変っていった。
さていま、民主党では大統領候補者指名を確実なものにしたBalak ObamaをさしものHillary女史も支持表明しようとしている。同党の融和が進み脱Bushを標榜する共和党のMaCaine氏にいかに立ち向かうか。民主党の予備選序盤において早々とHillary Clinton支持を打ち出していたThe New York Times紙の今後の論調にも目が離せない。米有力紙の販売部数が落ち込んでいるとはいえ、米国メディア最強のleading voiceは現在なおThe NY Timesだろうから。